火山と軽石 | 2008年06月29日 |
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建物で使用できる軽量緑化コンクリートの素材に軽石を選んだ経緯には、父からのアドバイスと友人から借りた一冊の本が大きなヒントになりました。 父は植物が好きな人で、私が最初に取り組んだ天然砂利を使用した透水性コンクリートの技術を屋上緑化に生かせとアドバイスしてくれました。父が現役のころ屋上のコンクリートには大島や榛名山の軽石を混ぜていたことを話してくれたのを覚えています。昔の屋上のコンクリートは軽石と砂とセメントを混ぜていたようですが、砂を抜いて軽石とセメントだけで透水性コンクリートを作ると重さはかなり軽減できるなと考えました。事実、軽石を使用したガーデンクリートの比重は普通コンクリートの半分以下です。そして同じころ、友人から"インドネシアを齧る"という面白い本を紹介してもらい読んでいたところ、インドネシアのジャワ島にある火山Gunung Merapi(インドネシア語で火の山)の山腹では軽石が水を貯水しているという記述がありました。植物が育つには水が保水できる基盤が必要ですね。この二つの出来事が同じころに重なり、緑化コンクリートの素材として軽石を使用しようと思い付いたわけです。窯業系軽量骨材として、パーライトやメサライト(膨張性頁石を焼成して発泡させた軽量骨材)がありますが、軽石は製造エネルギーも火山(地球)が負担してくれたありがたい素材で、まさに自然が生んだ天然軽量骨材です。
舞台装置 | 2008年06月26日 |
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軽量緑化コンクリート"ガーデンクリートライト"と灌水器具を組み合わせた植物の育成システムは劇場の舞台装置のようなものです。植物が一年を通して元気に育つように舞台裏で水と空気の加減を調整します。そして主役の植物は太陽というスポットライトを浴びで光り輝きます。
主役のケンタッキーブルーグラスも御殿場の東富士カントリークラブのキーパーさんが元気に育てくれました。
新しい舞台装置も整いました
21世紀の浅草名物 | 2008年06月22日 |
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浅草名物といえば雷おこし。米を蒸かし、煎って膨らませたものに水飴、砂糖、落花生などを混ぜて固めた和菓子で250年にも及ぶ大ベストセラー商品ですね。先日、浅草寺様の境内のお店で製造の実演を見ましたが、その作り方と形はブミコンに似ているようです。ブミコンはミキサーで天然砂利を水と固化材BGパウダーで固めるのですが、煎ったお米と水飴をミキサーに入れて練ると雷おこしが出来そうですね。私がこれまで携わってきた窯業系の建築材料の作り方はお菓子の製法と似たところがあります。例えばグラスウール断熱材ですが、その作り方はお祭りの屋台で実演販売している綿飴に良く似ています。グラスウールはケイ石を高温でガラス状に溶かし、白金で出来たスピナーという無数の穴が開いた容器に流し込み、高速回転させて遠心力の働きで穴から溶けたガラスが繊維状に飛び出してくる仕組みで、綿飴が出来る仕組みとほとんど同じです。その他にもALC板(イトン・へーベル板)はカルメ焼き、パーライトはポップコーンと製法が良く似ています。お祭りの屋台をのぞいていると、新製品開発のヒントがあるかもしれませんね。ご縁があり、浅草寺様の境内をブミコンで舗装させていただいていますが、雷おこしに見習いブミコンも21世紀の浅草名物になりたいものです。
寺務所まえ | 2008年06月20日 |
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ブミはインドの言葉です | 2008年06月15日 |
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Bumiは地球、大地を意味するインドのサンスクリット語です。
私が初めてこの言葉に出会ったのは今から25年ほど前、シンガポール、マレーシアで仕事をしていたころでした。当時のマレーシアでは先の首相マハティールさんが首相に就任されたばかりでBumi putra(土地っ子)政策を打ち出してその後のマレーシアの発展の基礎を作られていました。私も彼のランドマーク的なプロジェクトDaya Bumi(大地の力)complexやUMNO Head-quartersの建築に参加させていただきました。Daya Bumi complexは白と黒のコントラストを基調としたアラビア風の美しい建物です。当時はBumiというのはマレー語だと思っていたのですがその後インドネシア語を学んでいたら、語源がサンスクリット語であることがわかりました。インドネシア語はAustronesia(東はイースター島から西はマダガスカルまで広がる南の島々)で語られる言葉を基層に、アラビア、インド、中国の言葉を吸収した奥の深い言葉です。我々の日常生活の中でもサンスクリット語は思いがけないところで使用されています。以前、シンガポールのリトルインディアを歩いていたら、心地よいインドの歌が聞こえてきました。歌のフレーズに時々ナムーナムーという言葉が聞き取れます。音源のCDショップで、その歌のCDを買ったのですが、ジャケットはインドの言葉でどのような内容の歌だかよくわかりません。そこでインドの友人に尋ねてみると、ナムーは神の前でひざまずく言葉だと教えてくれました。その後あるご住職様にお尋ねしたところ、南無とは仏様に叩頭すること(頭を地につけ礼拝すること)と教えていただき、なるほどと思いました。 南無観世音菩薩...合掌
Sri Srinivasa Perumal Temple Singapore Bumicon
おみくじまえ | 2008年06月11日 |
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ローマンセメント | 2008年06月08日 |
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山から採れる石灰石は別名炭酸カルシウムといいます。化学式はCaCO3
これを加熱しますと二酸化炭素が分離して酸化カルシウム(生石灰)CaOになります。
CaCO3⇒加熱⇒CaO+CO2
酸化カルシウム(生石灰)に水を加えると水酸化カルシウム(消石灰)になります。
CaO+H2O=Ca(OH)2
原始時代の人間が石灰石CaCO3の上で焚き火をしたところ、石が割れて生石灰CaOになった。そこに雨H2Oが降ってきて化学反応を起こして消石灰Ca(OH)2となり固まった。これが石灰系セメント誕生のストーリーですね。消石灰に粘りを出すために海藻を使用した糊を加えたのが漆喰です。ローマ時代からフレスコ画の下地として使用されています。古代ローマ人は石灰石に火山灰を加えて漆喰よりも耐候性、強度にすぐれたローマンセメントを発明しました。火山灰の成分はシリカSiO2、アルミナAl2O3などです。今、広く普及しているポルトランドセメントも石灰石にシリカ、アルミナ、鉄などが含まれています。ガーデンクリートは火山が生んだセラミック、軽石に石灰石ベースの凝固材を加えたものでローマンセメントに似ていますね?ローマ帝国はローマンセメントを手に入れた事で帝国の版図を広げる事が出来たとか?現代のローマンセメント"ガーデンクリートを世に広めることで都市の保水性を高めてゆきたいと思います。
インドアファーム | 2008年06月05日 |
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サンゴと石灰 | 2008年06月01日 |
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石灰岩(炭酸カルシウム)は太古の昔にサンゴや貝殻などが堆積して出来ました。
日本の石灰岩の産地は太平洋岸に多いようですが、太古の昔から海で生成されたサンゴ礁がフィリピンプレートや太平洋プレートに乗って日本にたどりつき、時間をかけて現在の石灰岩になったからでしょう。
神奈川県に連なる丹沢山地はその昔、プレートに乗り北上して日本にぶつかって出来たとのことです。今から600万年ほど昔のことだそうで、丹沢が日本にぶつかった時代、伊豆半島ははるかかなた、今の小笠原諸島の位置にあったとか。 「南の海からきた丹沢」神奈川県立博物館編 有隣新書
地球規模の動きは時間のスケールがとても大きいですね。地球規模で起こっている自然の変化は目先の現象に惑わされることなく大きな時間の流れの中でとらえる視点が必要ですね。
先日、友人に知らせてもらい上野の科学博物館で開催されているダーウィン展を見学してきました。生物の変遷の歴史にはとてつもなく長い時間が費やされていることを感じました。出展されていたシーラカンスのはく製が思いのほか大きくとても素晴らしい展示でした。皆さんもご覧になってみてはいかがですか?
朝の海岸(マダガスカル) インド洋に浮かぶマダガスカルも太古の昔からのサンゴや貝殻が堆積して隆起した島です。石灰石が溶けて無数の針山のように並んだツィンギが有名ですね。