イギリス生まれの人類学者ブライアン・フェイガン著のThe Little Ice Age日本名:
歴史を変えた気候大変動」(河出文庫)を読みました。今は氷に覆われているグリーンランドが牧草に覆われていた11世紀初頭の温暖期から、小氷河期を迎えたヨーロッパの姿を気候学と歴史学の視点から描いた読みごたえのある本です。小氷河期を迎えた中世のヨーロッパでは、寒冷化で飢饉になると、その原因を魔女のせいにして多くの女性が犠牲になったようです。かわいそうな事ですね。気候変動を科学的に把握することができなかった当時の人々は、気候の変化で引き起こされた飢饉等の社会的な不安要因を、魔女狩りという政治的な手法で対処しました。最近の地球温暖化の原因を二酸化炭素に集中させる風潮に、中世のヨーロッパで行われた魔女狩りに似た気配を感じてしまいます。それにしても小氷河期を迎えた中世のヨーロッパは、飢饉やぺストなどの疫病に 苦しむ悲惨な時代だったようですね。それに引き換え、11世紀初頭の地球温暖化の時代のヨーロッパ人は、グリーンランドから北米まで生活圏を広げて、自然に恵まれた豊かな生活をしていたようです。
Salzburg Austria