光合成と芝生の呼吸 | 2009年10月04日 |
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光合成は光合成色素(葉緑素)を持つ植物が行う生化学反応のことです。太陽の光エネルギーを化学エネルギーに変換す化学反応のことで、この化学エネルギーを使って、水と空気中の二酸化炭素から炭水化物を合成します。6CO2 + 12H2O → C6H12O6 + 6H2O + 6O2
また植物の呼吸とは、植物の細胞が酸素を用いて、植物を構成する炭水化物(C6H12O6 )を分解・消費して、二酸化炭素を放出する生化学反応だそうです。C6H12O6 + 6O2 →6CO2 +6H2O Botanic Garden Singapore
光合成で出来た炭水化物を利用して植物は生長しますが、出来た炭水化物の量と、植物の呼吸により消費される炭水化物の量のバランスが植物の葉や茎、根の成長に影響を与えます。また植物の呼吸速度は温度に比例するそうです。そして植物の呼吸活性は、同じ温度では熱帯性の植物より温帯性植物のほうが高いそうです。日本の夏の気候では寒冷地型芝草であるケンタッキーブルーグラスなどの西洋芝のほうが、暖地型芝草である高麗芝よりも呼吸活性が高く、炭水化物の消費が多いので、葉の成長があまり進まないのでしょうね。
夏の同じ時期に切り出したケンタッキーブルーグラスをホテルの屋上と事務所のベランダで育てています。真夏の東京の屋上では、スプリンクラーによる灌水とガーデンクリートの通気性で芝生は枯れることはありませんが、葉の成長はあまり活発ではありません。北極圏に生息する白クマが東京で、暑さに喘ぎながら夏を過ごすようなものですね。
一方、風通しがよく午後の西日が適度に当たる事務所のベランダでは、ケンタッキーブルーグラスはよく成長しています。これから秋が深まり気温が下がると植物の呼吸速度も下がり、光合成による炭水化物の合成量が呼吸活性による消費量を上回り、屋上でも芝生の成長は活発になるのでしょうね。
校庭芝生リーダー養成講座テキスト(特定非営利活動法人21世紀校庭緑化研究会 編集)参照