三佐和ブログ


温帯と熱帯の技術の融合 2011年01月02日

熱帯の国々の多くが第2次世界大戦後に独立を果たし新しい都市造りを進めてきましたが、その参考となったのが欧米の都市構造です。主に温帯の自然の中で形成された欧米の都市造りの技術が熱帯に移転されて都市の近代化が図られましたが、それに伴い熱帯環境に適した従来からの技術が失われたのも確かです。熱帯の伝統的な住環境ではヤシなどの植物を利用して木陰を作ったり、自然な風の流れを採りいれたりして結構快適な暮らしをしていたようです。住宅と店舗が一体化した建物を回廊で繋いだ伝統的なショップハウスも、熱帯の環境にに対応した建物です。店を繋ぐ回廊は直射日光を遮り風通しも良く、心地よい空間を提供します。                                   ( Little India : Singapore)

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欧米を中心に築かれてきた都市構造では、建物の内部と外部の環境を遮断してエアコン等を利用して快適な室内空間を作り出します。暑い夏にはエアコンで室内を冷し冬は暖房します。熱帯の建物では一年を通してビルの内部をエアコンで冷房していますが、室内の快適な環境を維持するために電力の50%以上が冷房用のエアコンの稼働のために使用されているようです。              (イギリスの植民地時代の雰囲気を残す天井の高いコロニアルな回廊 Singapore)

 

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今、熱帯の都市では、自然エネルギーを活用して快適な生活環境を維持してきた熱帯の伝統的な住環境の手法と、温帯の発想に基づく電力など人為的なエネルギーで快適な生活環境を作り出す手法とのコラボレーションが始まっています。 

PICT0098_edited.JPG                   果物のドリアンに似たドーム型の建物 esplanade Singapore

 


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