各地のゴルフコース管理をコンサルティングされていらっしゃるSさんから観天望気という言葉を教えていただきました。観天望気とは自然現象や生物の行動の様子から天気を予想することです。夕焼けの次の日は晴れであったりツバメが低く飛ぶと雨といったように、周囲の自然現象の変化を見て天気を予測する、昔から伝承されてきた人間の知恵ですね。自然に囲まれて働くグリーンキーパーさんは、空の様子や身の回りの動物の行動を見て天気を予測することができるようです。
私が生まれ育った新宿の職安通りは今はコリアンタウンとして活況を呈していますが、子供時代を過ごした昭和30年代はまだ戦後の焼け跡の面影がありました。またそこは都会の中に自然が残された場所でもありました。雨上がりの水たまりに長靴で浸かりながら、風のそよぎでできたさざ波を見ていると自分が動いているような錯覚を起こしたり、夕方になると赤く染まった西の空に
金星がはっきり見え、
コウモリが飛ぶのも時々みかけました。季節になると
ツバメが倉庫に巣を作っていました。
あれから50年ほどが経過して東京は都市化が進み、ヒトや車の数が増えると共に建物や地表の舗装面積も増え続けました。それに反比例してツバメやコウモリ等、観天望気を予測する自然の指標は減少し続けてきました。それでも7月も中旬を過ぎて、夕暮れの神宮外苑を歩いていると今年も
セミの鳴き声がチラホラと聞こえ始めました。