ミュージカル「回転木馬」(Carousel)の中でStar keeperという不思議なキャラクターが登場します。日本語訳は「星の番人」でした。それではGreen keeperは「芝生の番人」、または「緑の番人」とでもいうのでしょうか?なかなか的を得た表現ですね。新宿事務所の近くには玉川上水の水番所跡があります。江戸時代、この辺りには玉川上水から開渠で送られて来た水を、石樋や木樋でできた水道管を地下に埋設して江戸の町へ給水する水番所がありました。水の番人が一人いて水門を調節し水量を管理したり、ゴミを除去して水質を保持したりして貴重な水の番をしていたようですね。
新宿に事務所を置いて2年が経過しました。この間の仕事のテーマの一つは、コンクリートやアスファルトで覆われた都市環境で植物を育てる緑化システムを完成させる事でした。水分を含んだ土の上では多くの植物は自然に育つことが出来ますが、アスファルトやコンクリートは植物が土から水を吸収するルートを遮断してしまいます。この問題をクリアするために多くの方々のご協力を得ながら、ガーデンクリートを緑化基盤としてコンクリートやアスファルトを覆い、その上で植物を育てる緑化システムを開発しました。
植物が生きるには植物に水を供給し続ける環境が必要です。そこで毛細管現象の原理を利用して、細く長く水を供給するシステムを作りました。使用する水は水道水はもちろんのこと、水道管がひかれていない場所でも灌水できるように、貯水タンクを利用したシステムも開発しました。雨水も利用できるように様々な工夫が施されています。
以前ブログでもお話ししましたが、コンクリートやアスファルトで覆われた都市で植物を育てるということは砂漠で植物を育てるようなものです。この都市環境で植物たちが生きながらえられるように、供給する水量を調整する水の番人の役割を果たす自然灌水システムが完成しました。