三佐和ブログ


東日本大震災と生物多様性 2012年01月15日
先週ご紹介しました理科年表2012年度版には3.11東日本大震災に関連したデータが特集として記載されています。地震発生のメカニズムから生物多様性や放射線の発生まで、数値に基づき科学的に表現されていて 中学生から社会人までが理解しやすい内容です。TVでよく見かけるガレキの山の総重量は約2,300万トンで日本全国の一般廃棄物年間発生量5,000万トンの約半分の数量です。それと津波とともに海から打ち上げられた堆積物(ヘドロ、汚泥、土砂など)の量が1,300万トンから2,300万トン推定されるという数値に驚きました。ちなみに石灰石を主原料とするセメントの 日本の 生産量は4,000万トン弱(2010年)です。
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「日本近海は生物多様性が極めて高くバクテリアから哺乳類までを含めた生物種数は155542種と推定され、全海洋生物の14.6%にあたる。日本近海が全海洋の0.9%に過ぎないことを考えると日本近海が生物多様性のホットスポットであることが良くわかる。」(理科年表2012年度版1032ページ)この豊かな海の底の堆積物が津波で陸地に押し上げられ、さらに陸地の構築物が海に押し流された今、東北の海の生物多様性は大きな変動の局面を迎えています。
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以前、ブログで日本の太平洋沿岸には石灰石の産出される場所が多い事について「北米プレート太平洋プレートフィリピン海プレートに乗って海底やサンゴ礁に堆積されたサンゴ虫(刺胞動物)や有孔虫等の骨が日本にたどり着き、時間をかけて石灰石になったからでしょうね。」というお話をしました。(ヒトは西からホネは東から) この石灰石の中には、カンブリア紀の初期のころのサンゴ類も見かけられるようです。カンブリア紀から現代まで約5億4千万年かけてサンゴ虫の骨は太陽エネルギーと地球の自転や公転等の運動エネルギーの働きで石灰石に変化してきました。今回の地震と津波で大きく変化した東北の海も、これから壮大な時間をかけて変化し続けて行くことでしょう。これもまた諸行無常です。

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写真は上から北太平洋上の海、マダガスカルから見たインド洋、そしてケアンズ(オーストラリア)から見た南太平洋です。            関連ブログ:仏の教えと科学の眼

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