寺田寅彦の「火山の名について」という随筆があります。
寺田寅彦随筆集第三巻(岩波文庫)著者が日本から南洋にかけての火山活動の時間分布を調べているうちに、火山の名前の中には 互いに似通ったものがある事に気づき、科学者でありながら言語学者のような視点で考えを展開されていてなかなか面白いエッセイです。例えば日本の火山、アソ、ウス、オソレ、アサマ等A、O、U母音とS子音で表現された火山が古くからありますが、カムチャッカにはウソン、マリアナ群島にはアソンソン、スマトラにはオサールという名の火山があるようですね。 写真 浅間山(
引用 Wikipedia)
一方南の島々で語られている
オーストロネシア語には、ニュー・ヘブリデス諸島のエファデではAso(燃える)、Asu(煙)、という言葉があり、インドネシア・マレー語では煙の事をアサップ(asap)と言います。また日本語の火(ヒ)、はポリネシアではアフィ(afi)、インドネシア・マレー語ではアピ(api)と言います。このような事例を見ていますと日本の火山の固有名詞がオーストロネシア語に似ているのは偶然とは思えません。 写真 マダガスカルの朝 マダガスカルはオーストロネシア語圏の西端です。
太古の時代、我々のご先祖様が日本にやってきたルートは南の島々から黒潮に乗ってやってきた道と、氷河期に大陸から陸伝いにやってきた道があったようです。太古の道のりで日本にやってきたご先祖様に続いて今日に至るまで、様々な人々が日本にやってきました。そして日本にやってきた人もいれば日本から海や陸を渡り海外に出て行った人々もたくさんいた事でしょうね。 写真 お台場に停泊する日本丸
太古の時代から、ヒトは風や海流などの自然エネルギーを利用して舟や筏を動かし移動していたようです。我々は船舶や飛行機などの交通手段の発展はもちろんのこと、インターネットを通して情報が自由に世界を飛び交う時代を迎え、国境を越えて活動するグローバルな時代を迎えていますが、それは太古の人間の活動圏に戻っているのかもしれませんね。 関連ブログ:
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