以前、
ターフ・サイエンス・セミナー2011という勉強会に参加したことがありました。講師はマイカ・ウッズ博士というアメリカ人の芝生の専門家ですが、芝生の光合成の仕組みや芝生の生育環境について科学的な視点に立った説明でとても勉強になりました。西洋芝の生育最適気温は15℃から24℃。そして西洋芝が,空気中のCo2を取り込んで活発に光合成をおこなう日中の気温は20℃から35℃だそうです。
また西洋芝にとって日中の気温よりも夜間の地温が大事であることも参考になりました。日中の気温が40度を超えるアメリカのアリゾナ砂漠でも夜間の地温は25℃を下回るのでクリーピングベントグラスは育ちます。浅草寺様の境内のコンクリートの上でクリーピングベントグラスを発芽させて育てましたが、今年の夏の東京の日中気温は西洋芝の生育最適気温の上限である24度をはるかに超えました。日中のコンクリートの表面温度は50度を超えることもあり、まさにアリゾナ砂漠に似た環境です。そのような環境でクリーピングベントグラスが発芽して生育したのは、クリーピングベントグラスを下から支えるガーデンクリートの緑化基盤がコンクリートの地熱温度を遮ったことが大きな要因だと思います。保水されたガーデンクリートの裏面温度は真夏でも夜になると25℃前後、日中でも30℃前後で推移します。
それと
先のブログでもお話ししましたが、浅草寺様ではお寺の皆さんが毎朝芝生に水をまき続けてくださったことが種の発芽の大きな要因でした。そしてまかれた水が芝生の土に溜まることがなくガーデンクリートを通して排水された事も重要なポイントです。植物を育てるには土中の水分と空気量のバランスが大事です。ガーデンクリートは保水性があるとともに通気性があるので植物が必要とする水と空気をバランスよく供給できます。水を毎日まいても水がたまることがなく、コンクリートの地熱温度を断熱するガーデンクリートがコンクリート砂漠を緑のオアシスに変えます。
9月の風のガーデンにやってきた花は
桔梗とクレオメです。桔梗は秋の七草のひとつで万葉集では「あさがお」として歌われています。花言葉は「変わらぬ愛、気品、誠実、従順」だそうで日本の女性を現しているような花ですね?
クレオメはフウチョウソウ科の一年草で、南アフリカが原産地だそうです。花言葉は「秘密のひと時、あなたの容姿に酔う、秘密の愛」だそうです。
風のガーデンも雨の少なかった東京の夏を無事に乗り越えて、庭では
ハギの花が咲きススキが風に揺れて秋の気配が漂い始めました。
もうすぐ中秋の名月です。風のガーデンから眺める東京の月はとても美しいでしょうね。皆さんも
月餅・
Mooncakeを召し上がりながら静かな秋のひと時をお過ごしください。今年の中秋の名月は9月30日です。
9月18日撮影
先のブログでポコポコ方式による灌水システムのフィールドテストのお話しましたが、8月の下旬にクリーピングベントグラスの種をまいて3週間ほどで発芽してきました。
8月24日撮影
びっしりと発芽したベント芝は動物の毛並みに似ています。9月13日撮影
ポコポコは大田区にお住まいの藤重元信さんが10年の歳月をかけて開発してきた自然灌水です。 私が藤重さんを御紹介いただき当社のガーデンクリートと藤重さんの灌水技術を組み合わせて緑化システムを開発して5年が経過しました。 その間に大阪の宇川さんを始め様々な方のとコラボレーションで開発が続いています。製品開発のキャッチコピーは「都市のコンクリート砂漠を緑のオアシスに!」 です。
この度、藤重さんを始め工業立国日本を支える熟練技能者の活躍を描いた
「職人学」 小関智弘著が日経ビジネス人文庫から出版されました。この本は10年前に初版が出版されましたが、それから10年経過した皆さんの現況が「文庫本のためのあとがき」 で紹介されています。その中で、藤重さんと我々の新たなチャレンジも少し紹介されていますのでご興味のある方は是非お読みください。
6月の初頭から浅草寺様の境内に緑化ブロックを敷き並べてクリーピングタイムを育てました。そして7月の中旬からクリーピングタイムに代わりクリーピングベント芝の種(007,
ブライトン)をまき発芽させて今日を迎えています。
場所は境内西側ですが、周囲はコンクリートに囲まれて朝から夕方まで直射日光が当たり続けるかなりハードな環境です。その中で真夏にもかかわらずベント芝の種が発芽して育ち始めた大きな要因は、境内を整備されるお寺の皆さんが毎日欠かさずに芝生に水をまき続けてくださったおかげです。
今年の夏の東京都内は雨が降らない日が続きました。緑化ブロックと自然灌水方式を組み合わせたガーデンクリート緑化システムは、雨が降らなくても芝生のソッドや根が伸びた植物が育つのを維持することはできますが、植物を発芽させて根付かせるには上から灌水する事が必要です。例年の気候であればひと月のうちにそこそこの雨量は確保されるので、底面から灌水するガーデンクリート緑化システムでも種は発芽して根付きますが、雨が降らないと種の発芽・成長率も下がります。
浅草寺様では皆さんが毎日、芝生に水をまいてくださるおかげで、種も発芽して葉や根が成長をしてきました。植物を育てるには、水・光・風の調和とともに毎日コツコツと植物を育てるヒトの愛情が大切ですね。 9月6日撮影 関連ブログ:
真夏のベント芝の発芽 浅草寺様の江戸の庭