インターネットを見ていたらちょっとショッキングなニュースを見かけました。イギリスの
Financial Timesのニュースなのですが2012年から2013年にかけてイギリスのEnglandとWalesでそれまで減少傾向にあった冬の死亡者の数が前年と比べて増えて30,000人を超えたようです。(その内75歳以上のお年寄りが25000人)その理由が建物の断熱不足とエネルギーコストの上昇による建物の寒冷化(cool house)にあるとのことです。建物が冷えることで心臓や呼吸器系疾患による病気が増えることが原因で、体温の低下による低体温症が原因ではありません。今年の3月のEnglandは1962年以来の寒さで平均気温が2.2度。これは1910年以来、2番目の寒さだったようです。しかし同じように寒い冬を迎えたドイツやフィンランドでは寒さによる死者の数は増えていないとのこと。その違いは建物の断熱普及率にあるようです。
それでは日本の断熱普及率はどうでしょうか?数字が少し古いのですが1990年から2006年までの16年の間に日本の住宅着工数は165万戸から129万戸に減少(2012年現在ではさらに90万戸前後に減少)しているのに対して住宅用断熱材は面積ベースで2億7千6百万㎡から3億8千5百万㎡と、約1.4倍も増えているようです。(
矢野経済研究所2007年9月27日データ参照)
FTのニュースが伝えようとしているポイントは、England,Walesで100年来、2番目に寒い冬を迎えた中、断熱化されていない寒い家で、エネルギーコストの高騰のために満足のゆく暖房が得られない環境で75歳以上の多くのお年寄りが亡くなったということです。日本では建物の断熱化はそれなりに進んでいるとはいえ最近では電気料金等のエネルギーコストが高くなってきています。これから寒い冬を迎えるのに、お年寄りたちが電気料金を気にしながら暖房費を節約することなく、暖かい環境で冬が過ごせる社会を作らなければいけませんね。
River Thames London