日ごろからお世話になっているY先生に福島原発と黒部ダムの水力発電の発電量の数値を聞いて驚きました。事故を起こした1号機の発電量が46万KWであるのに対して黒部第4発電所の水力発電量は33.5万KWです。福島の1号機は古いタイプで発電量が少ないのですが(6号機は110万KW)それでも黒部ダムの水力発電量を上回る発電量です。黒部峡谷をせき止めて作った大規模な土木工事によって生まれたダムの発電量が今から40年以上も前に作られた一つの原子炉の発電量にも満たないとは大きな驚きです。またLNGを使用して発電する火力発電所の発電量も侮れませんね。千葉県にある富津火力発電所の発電量は504万KWです。(写真は富山県にあります黒部ダムWikipedia引用)
原子力発電と火力発電にかかわるコストは会社の業績を示すバランスシートで例えることができます。日本では火力発電のエネルギーとなるLNGを海外から調達してきます。原子力発電所が使用できなくなっている現在、火力発電所の稼働率が高まり変動費であるLNGの購入量が膨らみ貿易収支に大きな影響を与えています。1年あたりの会社の収支をみる損益計算に似ていますね。それに対して原子力発電は、電気を作るための核燃料の変動費としてのコストはLNGよりも安いかもしれませんが、使用した核燃料の廃棄に膨大な費用がかかります。使用済み核燃料の廃棄費用は損益計算のように1年で決着することなく貸借対照表の減価償却のように将来に繰り延べられます。負の繰り延べ資産ですね。Y先生は放射能の半減期を早める発明ができないものかとおっしゃいますがその通りです。
21世紀に入り、70年以上前に開発された20世紀の発明である原子力のエネルギーに変わる主役のエネルギーが実用化されることを願います。そして今、20世紀の遺産である原子力が引き起こした問題に対して、20世紀生まれの人間として向き合ってゆこうと思います。 関連ブログ:
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