三佐和ブログ


気候カジノ 2015年05月31日
アメリカ人の経済学者W・ノードハウスが書いた気候カジノ「経済学から見た地球温暖化の最適解」日経BP社を読んでいます。著者は学生時代に読んだ「サムエルソン経済学」の共著者で経済学者の視点から地球温暖化をとらえていて興味を感じます。その内容をいくつか列挙してみます。
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人為システムとは資源の効率的かつ持続的な活用を確実にするため社会が策を講じているもの。
人為的エコシステム 農業。たとえば水耕栽培のように土を使わずに、制御された環境で水と栄養剤を使い植物を育てる農法。
・非人為システムとは人間の介入をほぼ受けずに機能しているシステム。
非人為的エコシステム 狩猟文化 気候パターンに大きく影響された。 
気候とは、何十年あるいはそれ以上の期間における、気温や降水量といった変数の統計的平均や変動性の事。
気象とは特定の日や年など短期間における実際の気候プロセス。
・世界全体では地域の平均気温が1度から3度上昇すると、食糧生産能力が増加すると予測される。
・気候変動に対応する緩和策。気温上昇と乾燥がもたらす負の影響の多くは二酸化炭素施肥によって補うことが出来ると考えられる。
・気候変動がもたらす主な影響 それぞれのシステムには、独自の動態や気候変動との関係がある。農業にとっては土壌水分量の問題であり、、ハリケーンにとっては海面温度が問題であり、海洋酸性化にとっては大気中の二酸化炭素濃度が問題となる。
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                                       写真は落羽松ラクウショウの気根 新宿御苑

暑い日が続くと二酸化炭素排出量の増加による地球温暖化の影響だと言ったり、寒い日が続くと太陽黒点の減少による地球寒冷化の影響だなどと身近な気象現象だけを見て短絡的に気候変動と結びつけたくありませんね。ある程度の温暖化や二酸化炭素の排出量の増加は農業にとっては好都合な環境を生み出します。また植物を育てるには土壌水分含有量が問題だという指摘には、緑化コンクリートと灌水システムを組み合わせて植物を育てる手法を開発している私にとってはとても心強い言葉です。しかし平均気温が3度以上上昇したとき、地球の環境は突然、正比例では予想できないカタストロフィックな変化を遂げるかもしれません。しかしその予想は難しいようです。

・あらゆるものは証明している。神が実は相当のギャンブラーだったということを。宇宙は壮大なカジノであり、そこでは常にサイコロが振られ、ルーレットが回されていることを。 スティーヴン・ホーキング

・リスクは知識に反比例する アーヴィング フィッシャー




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