大地の五億年(せめぎあう土と生き物たち) 藤井一至 ヤマケイ新書
山と渓谷社を読んでいます。「変化」と「酸化」をキーワードにして、地球を覆う土壌の5億年の歴史を語った興味深い本です。石灰石系固化材で軽石を固めたガーデンクリートで植物を育てる製品を開発している私にとり参考になる記述がいくつかありました。
「酸性とは水の中の水素イオンH⁺が多い状態を表す。日本のように降水量の多い地域では、生物の活動が盛んで、樹木や微生物による酸性物質の放出も盛んになるため、カルシウムなど中和に働く土の成分が溶かされ、雨とともに洗い流される。」
「植物はカリウムイオンK⁺やカルシウムイオンCa⁺などの陽イオンを吸収するために、代わりに水素イオンを根から放出する。」
「微生物は落ち葉を分解すると、その一部を酸性物質(有機酸、炭酸、硝酸)として放出する。生き物が放出する酸性物質により土が徐々に酸性に変わってゆく。」
上の写真はガーデンクリートでフラワーポットを作り、サトイモ科の熱帯植物ディフェンバキアを育てている様子です。フラワーポットの上のほうに白い粉のようなものが付着していますが、これは水酸化カルシウムのようです。ガーデンクリートの固化材に含まれているカルシウムが溶け出して、フラワーポットの表面に出てきたようですね。
ディフェンバキアはこのフラワーポットで8年以上生育しています。その間、根と茎は残り、葉が何世代も交代してきました。ディフェンバキアの根は直径わずか9cmぐらいの穴の土から伸びてガーデンクリートの空隙に活着します。8年以上もの間ディフェンバキアが元気に育ってきたのはガーデンクリートの保水性と通気性が根に良い影響を与えたことが主たる要因ですが、ガーデンクリートから溶け出したカルシウムのアルカリ性が酸性の土を中性に変化させるとともに、根から吸収されてディフェンバキアの生育を支えているのかもしれませんね。
フラワーポットの穴を並べて壁にしたのがフローラカスケードです。フローラカスケードにはガーデンクリートで作ったブロックに穴が開いていて、その中で様々な植物を育てることができます。写真はフローラカスケードでヴィオラを育てている様子ですがヴィオラたちも、ガーデンクリートの保水性、通気性、そしてアルカリ性に支えられながら元気に育っています。 2月19日撮影 関連ブログ:フローラカスケード