東京都内で緑化基盤ガーデンクリートの上に芝生をはじめ様々な植物を育てて10年以上が経過しました。コンクリートやアスファルトに囲まれた、都市環境の中でガーデンクリートで育つ植物を通して様々なことを学びました。そしてヒートアイランド東京は人にとってはネガティブな環境かもしれませんが植物にとってはポジティブな環境ではないかと思うようになりました。
ヒートアイランド東京の大きな問題点の一つが保水力の著しい低下です。東京は年間およそ1600mmの降水量が見込まれます。一日当たり平均しておよそ4mmの降水量です。また東京に雨が降る日数は年間115日前後と言われています。3日に一度は雨が降る計算です。つまり3日に一度12mm前後の雨が降る計算ですね。
コンクリートジャングル、アスファルト砂漠に覆われた都内ではこの雨の多くが地面に浸透することなく排水溝を通して河川や海に流れてゆくのが現状です。
コンクリートやアスファルトの上にガーデンクリートを4cm施工するとおよそ12mmの水を保水することができます。つまり東京のコンクリートジャングルとアスファルト砂漠の上をガーデンクリートで覆うことで、都内に降る雨水を保水して蒸散作用の働きで大気に戻し、雨水を河川や海に流す量を減らすとともに、ヒートアイランド東京の保水力も回復しますね。
真夏の昼間、コンクリートやアスファルトの表面温度が60度から50度の時に保水されたガーデンクリートの表面温度は40度前後です。さらにこの時のガーデンクリートの上で育つ芝生の表面温度は30度前後まで下がります。人が汗をかいて体温を調整するのと同じように植物も、自らの力で根から水を吸い上げて葉から蒸散させることで体温を調整するようですね。
ところで東京の気温が高く推移して人々が不快な思いをするのは6月中旬から9月中旬ぐらいまでの3か月の間です。そして自らの力で体温を30度前後に保つことができる植物にとって、この夏の季節は照り続ける太陽光を浴びながら光合成をおこないエネルギーを蓄える実り多い季節です。
今年の夏PIOのテラスのお水番で収穫されたピーマン
そして11月下旬から3月中旬にかけて気温の下がる冬、東京都内の気温は周辺の地域と比べてやや高く推移するので人も植物もヒートアイランド現象で作り出された、やや暖かい冬を過ごすことができます。
冬の新宿御苑 12月27日撮影