先日、久しぶりに農学博士マイカ・ウッズ先生の講演を聞いてきました。(Royal Turf Family Seminar 2019 パークハイアット東京 1月15日)
今回のテーマは「日本の夏対策について考える」でした。対象はゴルフ場で使用されているパッテインググリーン用の短く刈り込んだベント芝の生育方法が中心課題でしたが、ヒートアイランド東京でガーデンクリートの上でベント芝を育てている私にとっても参考になる話がたくさんありました。
昨年の夏、タイマーの故障に気付くのが遅れて、灌水が停止して芝生フィールドの芝生を枯らしてしまいました。そこでベント芝Tyeeの種を追い蒔きしたところ、真夏の暑さにもかかわらず発芽して芝生も回復しました。
8月20日Tyeeの種を蒔く 灌水システムも1日当たり8.7ℓ/㎡の水の灌水を開始する。
マイカ・ウッズ博士は土の通風を最大限にすることが夏の芝生の生育に大事であることを説明されていました。土壌代替基材ガーデンクリートには空隙が30%あるので、この点はクリアしているのですが、継続して灌水されるべき水が止まったことは大きな問題でした。その後、灌水が続くにつれて芝生も無事に回復しました。9月20日撮影
Tyeeはアメリカ北西太平洋沿岸に住んでいた先住民の言葉で「指導者」、「優れた者」を意味します。PIOのテラスの枯れた芝生フィールドも指導者、優れた者Tyeeのおかげで復活しました。 10月22日撮影
芝生フィールドはタンクに貯めた水をタイマーで水量を調整するお水番方式で灌水しています。秋から冬を迎え気温も下がってきたので灌水時間を短くして灌水量を調整しました。
11月28日撮影灌水量6.9ℓ/㎡・日
マイカ・ウッズ博士の話によると西洋芝ベントグラスが生育するのに最適な気温は16℃から24℃の間ぐらいです。ヒートアイランド東京も12月に入り気温が下がって芝生の成長は止まりましたが緑の葉を維持しています。12月19日撮影
そして新年を迎え東京の気温も10℃以下の日が続いています。気温が下がるに従い芝生からの水分の蒸散量も減ってきたので灌水量をさらに落としました。
1月17日撮影 灌水量3.2ℓ/㎡・日
西洋芝は高麗芝と違い冬の間休眠することはありません。冬の間も光合成を行いながら命を繋ぐ炭水化物を作り続けなければならないので、葉も緑色を保ちます。これから3月ぐらいまでは今の灌水計画に基づきながらTyeeの生育を見守ってゆこうと思います。 1月17日