三佐和ブログ


都市を潤す植物からの水分蒸発量 2021年09月28日

先のblogの続きですが、植栽装置オアシスから蒸発した水分量から、芝生のみの水分蒸発量のお話しをしようと思います。4月から9月までの間に植栽装置オアシスから蒸発した平均蒸発量は4㍑/㎡・日でした。

210927表.png植栽装置オアシスから蒸発した水分量は、芝生から蒸発した水分量、芝生の周囲の土や緑化ブロックヒルダから蒸発した水分量、そしてオアシスのタンクから蒸発した水分量に分けられます。

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今回の観測では植栽装置オアシスの横に計量カップを置き、カップから蒸発してゆく水量を計測しました。そして植栽装置オアシスからの水分蒸発量の平均値4r㍑/㎡・日から計量カップからの水分蒸発量の平均1.7㍑/㎡・日を引いた2.3㍑/㎡/日を芝生のみの水分蒸発量としました。この数値を見ると芝生からの水分蒸発量は、水や土、緑化ブロックヒルダから蒸発水分量よりも0.6㍑/㎡・日多い結果になりました。芝生のみからの水分蒸発量は周囲の水や土などよりも1日当たり約26%多いことになりますね。これは土壌に芝生などの植物が生息することで、土壌から自然に蒸発してゆく水分量に加えて、1日当たりより多くの水分を大気に蒸発することができるということです。

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以前私は植物は自らの意思で土中の水分を吸収して体内に取り込み消費したり体外に蒸発させたりする能力があるお話をしました。土壌を潤す植物の力そして土中の水分を吸収する植物の根の周囲は毛細管現象の働きで土が濡れることもお話ししました。つまり植物が生きていることで土壌の砂漠化が防げるということですね。都市から植物が消えたことで砂漠化が進み、廃墟となった都市の事例は過去の人類の歴史を見るとよくわかります。写真は豊かな緑に囲まれた台湾閣(新宿御苑)9月28日撮影

灌水装置オアシスから大気に蒸発してゆく水分量 2021年4月から9月 2021年09月27日

2021年4月から9月までの新宿事務所のベランダに設置した植栽装置オアシスからの水分蒸発量の平均値は4㍑/㎡・日ででした。この数値は2018年10月から2019年10月までの大田区産業プラザのテラスに設置された自然灌水システムお水番から蒸発した平均蒸発量3.8㍑/㎡・日に近い数値でした。

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新宿事務所のベランダに設置された植栽装置オアシスの取り巻く環境は、外部から雨が降ることはなく直射日光が当たることもありません。そして4月から9月までという春から夏にかけての半年間の観測です。一方、大田区産業プラザのテラスに設置された自然灌水システムお水番は、雨が当たり、直射日光も当たる環境でした。そして期間も2018年10月から2019年10月までと1年に及ぶ観測でした。芝生をめぐる水の循環

              自然灌水システムお水番

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                 植栽装置オアシス

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上の図を見ていただければわかると思いますが、自然灌水装置お水番も植栽装置オアシスも緑化ブロックヒルダの上に灌水クロスを載せて、毛細管現象を利用して底面から灌水クロスを通して水を吸い上げて、その上に土を薄く敷いて芝生を育てる植物栽培システムです。それぞれ設置された場所が、雨や日光が当たったり当たらなかったりと違いますが、芝生に灌水される水分量はお水番が3.8㍑/㎡・日、そしてオアシスが4㍑/㎡・日とほぼ同じであったのは驚きです。新宿事務所では4月から9月までとまだ1年の半分、しかも春から夏にかけての観測でした。

P9270037.JPGこれから秋から冬にかけて、植栽装置オアシスからの水分蒸発量がどのように変化してゆくか興味深く観察しようと思います。写真は新宿事務所に向かう途中で見かけたフヨウの花です。9月27日撮影

芝生から蒸発してゆく水分量8 2021年09月24日

9月8日から9月24日までの芝生から大気に蒸発してゆく水分量のデータがまとまりました。9月に入っても東京の天気は雨曇りの日が多く観測した20日間の間で晴れた日は8日でした。9月に入り、すべての測定データの数値が8月と比べて下降を始めたことが観測されました。そして数値の下降率を詳しくみると芝生からの水分蒸発量と湿度の下降率が約13%と均衡していました。また計量容器からの平均蒸発量と芝生を除いた灌水装置からの蒸発量の下降率もほぼ50%で均衡していました。

210924表.png4月から観測を始めて梅雨が明けるまでは、芝生からの水分蒸発量は大気中の湿度の変化と反比例しましたが、梅雨が明けて気温が高くなると湿度が下がり芝生からの水分蒸発量は一時期増えました。今年の東京は雨曇りの日が続き再び湿度が上がり芝生からの水分蒸発量が減る傾向が続きました。そして9月も中旬が過ぎて大気中の湿度が下がるにつれて、下降を続けていた芝生からの水分蒸発量も下降率がやや落ちて、湿度の下降率に比例するように下がり始めたようです。

210924グラフ.png4月から始まった観測ですが春から梅雨、夏、そして夏の終わりにかけて芝生からの水分蒸発量は、大気中の湿度の変化に反応しながら推移してきました。東京も秋の気候を迎えています。これから芝生からの水分蒸発量が大気中の湿度の変化にどのように反応してゆくか楽しみです。

P9240002.JPG           新宿御苑の芝生の広場 9月24日撮影

タクシーの屋根が菜園に 2021年09月21日

インターネットニュースを見ていたら驚くニュースが載っていました。タイのバンコクにあるタクシーの協同組合で、新型コロナウイルスの感染拡大による客の激減に伴い、大量に放置されたタクシーの屋根で野菜を栽培する取り組みが始まったそうです。タクシーの屋根が菜園に

これまで屋上や屋根の緑化を仕事としてきた私にとって、車の屋根を緑化しようとする発想はありませんでした。それを実現させた経営者に対し何を考えているのかと言いたいと共に、やるならもっと良い方法があると提言したいですね。

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記事にあった動画を見るとタクシーの緑化は、屋根にシートを敷いてその上に土を載せて野菜の根鉢を置くという方法をとっていましたが、これでは土が飛散したり流れたりして車の劣化を進めることは間違いありません。車のボディをあまり傷めずに緑化するには、車の屋根にシートを敷いてその上に穴の開いたプランターブロックマーガレットを載せて、植物の根鉢を灌水クロスでくるみ、マーガレットの穴に挿入して植物を育てるのが良いと思います。ガーデンクリート三姉妹

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P5140072.jpgプランターブロックマーガレットは土の性質をしながらも固まっているので、風で飛散したり雨に流されることがありません。この性質は車の屋根に土を載せて植物を育てるよりも車のボディーの劣化を防ぎます。

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これまではコンクリートやアスファルトの上で植物を育てることを検討してきましたが、次は鉄を素材とした乗り物を緑化する方法についても考えてみましょうか?今回のタイの経営者の行動は、私にも大きな刺激を与えてくれたようです。(笑)

9月の新宿御苑 2021年09月17日

9月も中旬に入りましたが新宿御苑もようやく良い天気になりました。中の池では大きなスッポンが泳いでいました。御苑ではスッポンやカメなどのほかに時々蛇も見かけます。

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草むらでアオサギを見かけました。気温も下がりアオサギも日中歩き始めるようになりました。草むらで餌になるトカゲやヘビを探しているようですね。

IMG_5943.jpg芝生の広場の芝生はまだ緑を保っていますが、これから季節が秋に移り少しずつ色が変わり休眠の準備を始めます。

P9150080.JPG中の池では池に伸びた木々が水面に映っていました。東京も気温が25度を下回るようになり御苑の動物や植物たちにとっても住み心地の良い季節を迎えています。

P9150088.JPG                          9月15日撮影

9月のフローラカスケード 2021年09月14日

浅草寺様境内のフローラカスケードは灌水システムの水が断ち切れることなく無事に8月を乗り切りました。今年の東京は9月に入り雨曇りの日が続いていますが、太陽からの直射日光が雲にさえぎられる中でも、植物たちは安定した水の供給を受けながら元気に育っています。

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インパチェンスとツルニチニチソウの生存競争も活発で、今はインパチェンスがツルニチニチソウの生活領域を上に押し上げているようですね。6月、7月ぐらいまではフローラカスケードの上層に植えたツルニチニチソウが下層のインパチェンスに覆いかぶさるように成長しましたが、8月の中旬から9月に入り下層のインパチェンスが上層のツルニチニチソウを押し上げるように成長しています。IMG_7521.jpg

これからもンパチェンスとツルニチニチソウの生存競争は続きますが、季節ごとに変化する植物の姿を見ると改めて植物たちが生きていることを実感します。

IMG_7523.jpg                         9月14日撮影

9月の新宿事務所 2021年09月10日

新宿事務所で、カスケードブロックや手作りフラワーポッドで育てている植物たちは夏を乗り切り秋の気候になじもうとしています。ベゴニアがまた花を咲かせ始めました。

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ベランダで手作りフラワーポッドで育てているコーヒーやパキラも夏の間に一回り大きくなりました。葉の色つやも益々よくなったようです。

P1000221.JPG室内で小さなフラワーポッドで育てているパキラもずいぶん大きくなりました。小さなフラワーポッドでも水やりをコンスタントに続けると植物は大きくなるみたいですね。もちろん光も重要です。新宿事務所に直射日光が当たる時間は限られていますが,窓越しに当たる光を効率よく受け止められるようにパキラの葉も大きくなりました。

P1000226.JPG 今年の東京の8月は雨曇りの日が多かったようです。9月に入っても雨曇りの日が続いています。ヒートアイランド東京も気候変動の渦に巻き込まれているようですね。関連ブログ:今年の世界の気候   9月10日撮影

芝生から蒸発してゆく水分量7 2021年09月06日

8月18日から9月4日までの芝生から大気に蒸発してゆく水分量のデータがまとまりました。東京は8月の後半になっても雨曇りの日が多く、観測期間中で晴れた日はわずか5日でした。芝生からの水分蒸発量は、気温や湿度のほかに太陽からの光が影響しているような気がします。

210904表.png8月も後半に入り雨曇りの日が続く中で湿度は再び上昇を始めました。そして気温は下降を始めたようです。このような環境の変化に芝生は敏感に反応して水分蒸発量が下がりました。一方で芝生からの水分蒸発量を引いた、土や水から大気に蒸発してゆく水分量は少し上昇したようです。下記のグラフをご覧ください。

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灌水装置オアシスからおよそ5㍑の水が完全に蒸発するのに、8月2日から18日までは16日間、そして8月18日から9月4日まで17日間でその差は1日です。つまり灌水装置オアシスの芝生や土、そして水から蒸発してゆく水分量を吸収する大気には、水蒸気を吸収する限度があるようです。大気の飽和状態ですね。そしてこの飽和状態を作り出すのが、その時々の気温と湿度,そして気圧です。

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            霧雨に煙る新宿御苑の芝生の広場 9月4日撮影

今年の夏の世界の気候 2021年09月03日

今年の夏はドイツやベルギーで大洪水が発生したようですが、その原因は大西洋を南北に循環するか海流(大西洋南北熱塩循環)の影響だそうです。大西洋南北熱塩循環とは赤道付近で暖められた海水が北上してヨーロッパ周辺の気温の低い地域に入り水が冷えて沈み込み再び南に向かって循環する現象です。(半日経ったお風呂の水が表面は暖かく底は冷たいことからイメージできますね。)そして海水の塩分濃度が海水の沈み込みに大きな影響を与えます。最近、グリーンランドの氷河が融けて真水が海に流れ込み海水の塩分濃度を薄め、北上してきた海水の沈み込みが浅くなることで、南北に循環する海流の力を弱めているという考え方です。「地球温暖化で欧州は逆に寒冷化する?

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一方アメリカのニューヨークでもハリケーンの影響で洪水に見舞われているようです。そして今年も中国では都市が洪水による災害に見舞われているようですね。このように今年の夏は世界各地で大雨、洪水の影響に見舞われたようです。東京の8月も雨曇りの日が多かったようです。情報のグローバル化が進み、世界各地で起きている気候の変動がリアルタイムで把握できます。そして気候変動の原因として、人類が消費する化石燃料から発生するCo2などの物質が増えること、太陽の黒点の数値の減少により地球を覆う太陽からの磁力線バリアが弱まり、その結果地球に降り注ぐ宇宙線量が増えることで地球を覆う大気と反応して雲の量が増えること、そして先にお話しした海流の力が弱まることなどが考えられます。

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人類が発生させるCo2の量や太陽の黒点の数値、そして海水の塩分濃度の変化など様々な要因に影響されながら地球規模で気候は変化を続けています。以前私は自然現象の変化を「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざに例えながらお話ししました。「ある事象の発生により、一見すると全く関係がないと思われる場所、物事に影響が及ぶことの喩えである」が吹けば桶屋が儲かる?

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地球は温暖化に向かわせる要因、そして寒冷化に向かわせる要因が複雑に絡み合いながら大きなスケールで変化を続けています。関連ブログ:今年の梅雨


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