9月の新宿御苑 | 2022年09月30日 |
---|
今日は9月も最後の日です。御苑ではススキが風にそよぎ秋の気配が感じられます。今年の9月の東京は雨曇りの日が多く、下旬になってようやく晴れの日が続きました。
「「気候はこれから見込まれるもの。気象はそこで起こっているもの。」気候は長年の平均だから、ゆっくり変化する。気候を決めるには少なくとも10年間の観察が必要だし、その変化を明らかにするには20年以上を要する。中略 気候を決めるのはその何十年かの平均的な性質である。」S Eクーニン著「気候変動の真実47p」私たちが体感している気象は、今(2022年9月30日)そこで起こっているものです。そしてこれから10年、20年先の9月30日に起こる気象(気温、湿度、雨量など)の数値の積み重ねから、今と比べての9月30日の気候の変化が読み取れるということですね。
人間は常に動き回っているので、過去はもちろんのこと、これから10年、20年先の同じ場所の気象、気候の変化を体感することは難しいですね。ところが木は同じ場所で生き続けているので、体内に蓄積された様々な情報(例えば年輪)で、その場の過去の気候の変化を読み取ることができます。
人間はその場の気象をもとにして気候の変化を語ろうとする傾向がありますが、これから先に起こる地球の気象、気候の変化に長い年月をかけて対応し、そして記録し続けることができる唯一の生命は木なのかもしれませんね。
9月のベランダガーデニング | 2022年09月26日 |
---|
お彼岸を過ぎて東京のマンションのベランダも秋の気配が漂ってきました。夏の間カスケードブロックで育てたインパチェンスに変わり、秋からは様々なハーブを育てることにしました。選んだハーブはモヒートミント、オレガノ、レモンタイム、香りハーブのタイムです。
今までカスケードブロックで育ててきたバジルとオオバは、食べてしまったのでまた同じ種類のものを植えました。
プランターブロックマーガレットで育てているミントも、刈り取った後にまた新しい芽が出てきました。ミントはたくましい植物です。
ベランダで育てる新鮮なハーブは香りをお茶や食材として利用できて楽しいですね。
ドレーンにたまった水を灌水クロスで吸い上げて,緑化ブロックヒルダに送り、その上で育てている低木たちも元気です。これからヒートアイランド東京のベランダも、植物たちにとって過ごしやすい季節を迎えます。9月26日撮影
天網恢恢疎にして漏らさず | 2022年09月23日 |
---|
天網恢恢疎にして漏らさずとは、「天の神が地に張り巡らした網は、ゆったりして粗いようであるが、決して漏らすことはなく、それに搦め捕られる。 すなわち、悪事を行えば、一時的には逃げおおせるなどうまくいったように見えるが、結局は、捕らえられる乃至その報いを受けるということ。」老子 「科学がまだ未確定で、そこに重大な不足点があるとしたら、「科学」の方の物言いはなぜこんなに違うのか?科学者、科学機関、活動家とNGO,マスコミ、政治家など、多様な気候関係者がみな説得のためにウソに加担しているのか?」「気候変動の真実」p245
21世紀に入り「人間の産業活動の広がりが地球の温暖化や世界各地で異常気象を引き起こしている。そしてその大きな要因はCo2の増加である。」という論調が世界を風靡しています。しかし地球の温暖化や身の回りの気象現象を大気中のCo2の増加だけで決めることはできません。宇宙を動かす自然現象の様々な変化の重なりが、今の地球の気象現象に結び付いていると思います。以前ブログでクーニン先生の気候と気象の違いについてお話ししました。「気候はこれから見込まれるもの。気象はそこで起こっているもの。」気候は長年の平均だから、ゆっくり変化する。気候を決めるには少なくとも10年間の観察が必要だし、その変化を明らかにするには20年以上を要する。「気象と気候」
今日は秋分の日。地球から見て太陽が赤道上空を通過する日ですね。地球の自転、公転、地軸の傾きと歳差運動、そして太陽も銀河系の周囲を回っているというとてつもない自然のスケールの大きさの中で、人間は地球を取り巻く気候を自分たちの都合の良いように説明することはできません。「天網恢恢疎にして漏らさず」趣旨は少し違うかもしれませんが、畏敬の念をもって自然に接するための良い言葉です。
関連ブログ:二酸化炭素は魔女じゃない
Co2と穀物収穫量の関係 | 2022年09月20日 |
---|
S・E・クーニン著「気候変動の真実」を読んでいたらCo2と食物収穫量の関係について面白い記述がありました。「二酸化炭素濃度の増加が収穫高増大の大きな要因だったと知ったら、皆さんは驚くかもしれない。それは光合成のスピードを高め、水をもっと効率的に利用できるよう植物の生理を変化させる。P230」
以前私はブログで植物の光合成の仕組みについてお話したことがありました。「光合成 太陽の光エネルギーを化学エネルギーに変換する化学反応のことで、この化学エネルギーを使って、水と空気中の二酸化炭素から炭水化物を合成します。6CO2 + 12H2O → C6H12O6 + 6H2O + 6O2 」光合成と芝生の呼吸
C6H12O6は炭水化物。つまり植物は大気中の水と二酸化炭素を合成して穀物に変換して生物が生命を維持するのに必要なエネルギーを作り出すということですね。クーニン先生によると1960年から2015年の間に、世界の小麦、コメ、トウモロコシの生産高はそれぞれ2倍以上になり、米国のトウモロコシ生産高は3倍以上に増加したそうです。p230 世界の穀物の生産高が増加した要因は農業技術の改良や耕作面積の増加など様々な要因があると思いますが大気中のCo2の増加も影響を与えているようですね。
地球を覆う水の循環 | 2022年09月13日 |
---|
クーニン先生の著書「気候変動の真実」を読んでいたら地球を覆う水についてのわかりやすい説明がありましたのでご紹介いたします。
・地球上の水量は基本的に一定だ。そのほとんど(97%)は海にあり、残りのほとんどは氷や雪、湖や川、地下水として陸にある。P176
・気候に関しては、地球の水の十万分の一でしかない大気中の水が中心的な役割を果たす。水蒸気は最も重要な温室効果ガスで、雲は地球のアルベドの大半を占める。P176
・太陽のエネルギーはこの様々な貯留層の間で水を移動させ、いわゆる「水循環」を形成する。このサイクルの中で、最大かつ最もダイナミックな部分は、地球の表面から大気への水の流れだ。(この流れの85%が海水の蒸発、15%は植物の発散をはじめとする陸由来)。 その水は大気中に平均10日間とどまった後、凝結し、降雨や積雪として地球の表面に戻る。 (77%は海に、23%は陸に降る。)p176
以前私は水の循環について、水の気化と液化という物理現象でお話ししました。「水の循環」クーニン先生の水の循環を気化と液化という言葉で表現すると、地表の水のうち気化して大気にとどまる85%の水は海から、そして15%は植物をはじめとする陸由来。そしてその水は大気中に平均10日とどまった後に、液化して雨や雪として地球の表面に降る。液化した水の77%は海に、23%は植物を含む陸に戻る。そしてこの地表を循環する水の量は地球が保有する水の十万分の一だということですね。地球を取り巻く自然の動きのスケールの大きさを実感します。
ベゴニアも生きている3 | 2022年09月09日 |
---|
新宿事務所の机の上で同じ形をした容器に、水を入れたものと茎から根を出したベゴニアを並べて、容器から蒸発してゆく水分量を観察して2か月が経ちました。2か月が経過してベゴニアを入れたペットボトルから蒸発していった水分量はおよそ95cc,ペットボトルだけの蒸発水分量はおよそ25ccでした。
水を入れただけの容器からの水分蒸発量は、ほとんど容器の筒の部分からだけの蒸発量だったので計測しやすくおよそ1.28㍑/㎡・日でした。ベゴニアを入れた容器からの水は蒸発するに従い容器の表面積が広がるので、蒸発する水分量も比例して増えます。今回は蒸発してゆく水分量を毎日計測しなかったのでベゴニアを入れたペットボトルから広がった面積を時間軸を加味して計測できませんでしたが、時間経過も合わせてベゴニアを入れたペットボトル面積の広がりを、筒の面積の30%増と仮定すると、ベゴニアを入れたペットボトルから蒸発していった水分量はおよそ3.75㍑/㎡・日となります。帳尻合わせのようで恐縮です。
昨年の4月から今年の4月まで1年かけて観察した、植栽装置オアシスから蒸発してゆく水分蒸発量は3.7㍑/㎡・日、計量容器から蒸発してゆく水分量は1.5㍑/㎡・日でした。「芝生は生きている」この二つの植物からの水分蒸発量を比較してみると、観察した場所が室内と室外、植物を育てる環境がペットボトルと植栽装置と違いますが数値に似ているところがあるようです。
9月9日撮影
9月のフローラカスケード | 2022年09月07日 |
---|
今朝の東京は台風が近づいているせいか湿度の高い朝を迎えています。浅草寺様境内のフローラカスケードもインパチェンスとツルニチニチソウが元気に共存しながら成長を続けています。
ツルニチニチソウの弦は、インパチェンスの後ろに隠れながらカスケードブロックの下まで伸びています。ツルニチニチソウはインパチェンスを後ろから支えているようにも見えますが、日陰を求めているのでしょうか?
あと半月もすると秋分、秋のお彼岸を迎えます。これから気候も落ち着いて境内を訪れる人も増えて行きそうですね。
9月7日撮影
高温日と低温日 | 2022年09月05日 |
---|
「気候変動の真実」S.E.クーニン著にアメリカの過去120年の記録的高温日と記録的低温日の日数の推移についての記述がありました。アメリカ全土で725の観測所の過去120年のデータをもとにしているようです。それによると「記録的高温のグラフを見ると1930年代が明らかに暖かいが、観測期間中の120年を通してこれといった傾向はみられない。中略 対照的に記録的低温日の数は100年以上にわたって減少しており、1985年以降はその傾向に拍車がかかっている。147P」
以前私は理科年表を利用して東京の1961年と2017年の年間温度の変化を比べたことがありました。それと同時に1961年から2017年にかけての8月の温度の変化も比べてみました。「何故冬の気温が高くなったのか?」下記のグラフをご覧ください。
私はクーニン先生の説明を見て、過去から現在にかけてのアメリカと東京の気温の変化に似ている傾向があると思いました。アメリカ全土に及ぶ725の観測地点の名前はわかりませんが、おそらく東京の観測地点のように都市部の観測が含まれていると思います。そしてアメリカも東京と同じように都市化が進んだところでは冬の気温が上昇傾向にあるのに対して、夏の気温は過去100年以上にわたりあまり大きな変化が見られないということではないでしょうか?
気象と気候 | 2022年09月02日 |
---|
アメリカの物理学者ステイブーン E クーニンの書いた「気候変動の真実」日経BPを読んでいます。筆者が語る論調はヒートアイランド東京で周囲の温度や湿度の変化、そして芝生や地面から蒸発してゆく水分量を観察している者として、とても読み応えのある内容です。
「気候はこれから見込まれるもの。気象はそこで起こっているもの。」気候は長年の平均だから、ゆっくり変化する。気候を決めるには少なくとも10年間の観察が必要だし、その変化を明らかにするには20年以上を要する。中略 気候を決めるのはその何十年かの平均的な性質である。私たちが間違えを犯すのは、時間の経過に伴う気候の「全体像」を把握しない時だけではない。中略 気候は場所によって変化する。47P
地球を覆う大気による気候変動を人類がこれまで蓄積した知識や経験だけで簡単に語ることは難しい。そして気候変動に与える人間の活動の影響がいかに小さいかを見極めたうえで壮大な自然と向き合いたいですね。これから時間をかけてクーニン先生が語る気候変動に対する見解を学んでゆこうと思います。
新宿御苑の芝生の広場は昨年の夏と同じように、今年もヒートアイランド東京で元気に緑を保ち続けています。9月2日撮影