東京の月別気温平均値の推移 | 2024年02月02日 |
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理科年表2024を購入しました。これで2020年までの東京の月別気温平均値の推移をみることが出来ます。私の所有している数冊の理科年表を遡ると1961年代からの東京の月別気温の平均値を知ることが出来ます。1961年というと日本が復興して経済成長が始まった時期ですね。以前のblog(都市の温暖化と地球の温暖化)でもお話ししましたが当時、私の生まれた新宿の自宅から周囲を見回すと、ビルも少なく富士山が見えました。またアスファルト舗装も今ほど普及していませんでした。コンクリート建造物やアスファルト舗装に覆われる面積が少なかった1961年代の東京の冬の気温は、その後の冬の東京の平均気温よりも低いことがわかります。
ところが8月の平均気温の推移をみると1961年代の8月の平均気温は、その後60年経過した8月の気温と同じかやや高いことに驚かされます。(データのとり方が1961年代は10年の平均気温であるのに対し、その後のデータは30年の平均気温であるこも影響しているかもしれませんが。)1961年代以降と比べ東京の冬の気温が高くなったのは、経済成長期に入った東京がコンクリートジャングルとアスファルト砂漠に覆われたヒートアイランドに変貌したからではないかと思います。そして夏の気温にあまり変化が見られないということは、気温の測定方法にヒントがあるのではないでしょうか?気象庁のホームページを見ると「気温は風通しや日当たりの良い場所で、直射日光の当たらないように通風筒に格納された電気温度計を用いて、芝生の上1.5mの位置で測定することを標準とします」とあります。
以前の夏、東京のマンションのベランダので午後2時ごろ日陰でコンクリートの表面と芝生の表面温度を測定したことがありました。その時の測定ではコンクリートの表面温度は58.8℃、そして芝生の表面温度は32℃でした。「ヒートアイランドにオアシスを2」コンクリートと芝生の表面温度の差は芝の水が水蒸気に変わるときに必要な熱エネルギーを芝生の表面から奪う気化熱の働きがある事と、コンクリートと芝生の熱伝導率の違いから生まれるのでしょうね。ちなみにコンクリートの熱伝導率は1.6W/MK,芝生の熱伝導率は0.7W/MKです。コンクリートの半分の熱伝導率の芝生は断熱効果がコンクリートの2倍ほどあるので、建物に蓄熱される熱量もコンクリートよりも少ないということです。
これまで60年に及ぶ東京の気温の変化に、コンクリートと芝生がどのように影響を及ぼしたかにつきましてはつきましては次のblogでお話ししようと思います。写真はまだ休眠中の新宿御苑の芝生です。2月3日撮影