三佐和ブログ


ヒートアイランドのビオトープ オアシスⅡ 2024年06月22日

人類学者ブライアン・フェイガンの著書「古代文明と気候大変動」河出文庫を読みました。南米にあるチチカカ湖周辺テイワナクで行われていた盛り土耕による農作物の生産は西暦600年以降に大規模な広がりを見せましたが、1300年ごろに気候変動による干ばつがピークに達した後、耕地は放棄されて行ったようです。テイワナクの盛り土耕地のレイアウトをご覧ください。


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私はテイワナクの盛り土耕地をヒントにしてオアシスⅡによるビオトープをイメージしてみました。オアシスⅡでは盛り土耕地の砂層、砂利層をガーデンクリートに置き換えています。下記のレイアウトをご覧ください。

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オアシスⅡを使用したビオトープはコンクリートやアスファルトの上に設置することを目的とした薄層緑化システムなので、自然の雨水の循環に加えて給水で水を補う方法をとっています。東京の年間降水量は1598.2mm(4.4mm/日)です。雨の当たらない新宿事務所のベランダに設置されたオアシスⅡからは、およそ3.5~3.8mm/日の水が蒸発しています。そして7日分の水を容器に給水する方法で芝生を育てています。

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上の写真は新宿御苑の芝生の広場です。オアシスⅡでの芝生と土からの水分蒸発量から推察すると御苑の芝生の広場からもおよそ3.5~3.8mm/日以上の水が蒸発(output)していると考えられます。東京の年間降雨量(input)が4.4mm/日です。新宿御苑の芝生の広場はinputの降水量がoutputの蒸発量を上回り、残りの水が土中に保水されるようなので、1年を通してスプリンクラーなどによる散水をあまり見かけたことがありません。テイワナクの盛り土による農業は、気候変動によりinputの降雨量がoutputの蒸発量より下回ったことが原因で衰退したのでしょうね。ヒートアイランドのビオトープオアシスⅡでは、給水することで水の循環であるinputとoutputのバランスを保ちます。6月22日撮影

芝生の剪定 2024年03月04日

新宿事務所のベランダに芝生の広場オアシスの試作品を設置して芝生を種から育てて6か月がたちました。芝生の種類はクリーピングベントグラス007です。下の写真は芝生の種を蒔いて2週間ほど経過した様子です。9月13日撮影

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芝生は順調に成長して3ヶ月経過したところで葉を剪定しました。下の写真は剪定したクリーピングベントグラス007の様子です。12月2日撮影

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その後、クリーピングベントグラス007は冬の間も成長を続けました。下の写真は12月の初めから3ヶ月経過した3月4日の芝生の様子です。

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クリーピングベントグラスは気温の低い冬の間も、夏から秋にかけてと同じぐらいのスピードで葉を伸ばしたようですね。そこでまた芝生を剪定しました。

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これまで秋から冬にかけて6か月間の芝生の成長を観察しました。これから春から夏にかけての芝生の成長はどのように変化するのでしょうか?葉の成長と芝生への給水量の推移を注意深く観察してゆこうと思います。上は葉を剪定したクリーピングベントグラスの写真です。3月4日撮影

オアシスⅡへの給水量の推移 2023年12月23日

新宿事務所のベランダで植栽装置オアシスⅡにクリーピングベントグラス007を植えて給水量の推移を調べていますが12月13日から12月23日までの数値がまとまりました。

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オアシスⅡの12月13日から12月23日までの給水量は約2.6㍑で1日当たりの給水量は2.2㍑/㎡・日でした。そしてオアシスⅡの周囲の水分蒸発量は約1.5㍑/㎡・日でした。下記の表をご覧ください。

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オアシスⅡへの給水量は9月13日から記録を開始したのですが、11月10日からはオアシスⅡの周囲からの水分蒸発量の測定も始めました。オアシスⅡへの給水量とオアシスⅡの周囲からの水分蒸発量を比較することで、芝生への給水量と蒸発量との関連がわかるのではないかという考えです。下記のグラフをご覧ください。

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このグラフを見てオアシスⅡへの給水量が周囲の水分蒸発量よりも多いということがわかります。これはオアシスⅡの軽石と土からの水分蒸発量に加えて芝生からの水分蒸発量も含まれているからではないでしょうか?芝生は気温と湿度が下がる冬を迎えて、自らの意思で根から水を吸収して葉から蒸発させる活動を続けています。これからも芝生の動きを見続けてゆこうと思います。 12月23日撮影

12月の新宿事務所 2023年12月21日

12月も下旬を迎えて東京の気温もようやく低くなってきました。新宿事務所のベランダではカスケードブロックや緑化ブロックの上で様々な植物たちが元気に育っています。

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浅草寺様の境内に設置したフローラカスケードから、ツルニチニチソウとインパチェンスを事務所のベランダのオアシスⅡの試作品に移植したのですが移植がうまくいったようです。

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受け皿に緑化ブロックを置いて給水方法に工夫を施したオアシスⅡの試作品で西洋芝を育てていますが、芝生は寒さの中で元気です。

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カスケードブロックで育てているベゴニアやキンギョソウ、カレンジュラなども相変わらずカスケードブロックの穴に支えられながら育っています。

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上の写真は9月の初めにカスケードブロックの穴の土に種を蒔いて生育の途中のキンギョソウです。直射日光の入らない環境ですが元気に成長を続けています。 12月21日撮影

福徳岡ノ場の軽石で芝生を育てる8 2023年12月02日

新宿事務所のベランダでオアシスⅡの試作品でクリーピングベントグラス007を育てていますが葉が伸びたので剪定しました。

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11月23日から12月2日までのオアシスⅡへの給水量の数値がまとまりました。この間、オアシスⅡの周辺の水分蒸発量は減ったのですがオアシスⅡへの給水量は少し増えたようです。下の表をご覧ください。

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12月に入り気温と湿度が下がってきたのですがオアシスⅡへの給水量と周囲の水分蒸発量の間には微妙な変化が見られます。下記のグラフの給水量の変化をご覧ください。

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オアシスⅡで育てている西洋芝は気温が下がっても休眠することなく光合成や呼吸を続けています。芝生は常に根から水分を吸収し続けていますが、この生命を維持するための活動が周囲の水分蒸発量の変化との間に微妙な差を見せているようですね。12月2日撮影

福徳岡ノ場の軽石で芝生を育てる7 2023年11月22日

新宿事務所のベランダで芝生の広場オアシスⅡの試作品を作り芝生を育てています。芝生の種が発芽してから3か月ほどが経過しましたが根は灌水クロスを通して緑化ブロックに活着して、緑化ブロックに保水された水を吸いながら成長を続けています。

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11月13日から11月22日までのオアシスⅡから芝生への給水量は2.3㍑/㎡・日、そして計量器から蒸発した水分量は2㍑/㎡・日でした。つまりオアシスⅡの芝生と保水された緑化ブロックからの水分蒸発量は、オアシスⅡの周囲の水分よりもおよそ0.3㍑/㎡・日多いということですね。

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9月13日からオアシスⅡへの給水量の測定を始めましたが、当初は気温も高く給水日のインターバルを7日に設定しました。その後気温が下がるにつれてインターバルを8日、9日と伸ばして10月23日からは10日のインターバルで給水をしています。

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11月2日からはオアシスⅡの周囲からの水分だけの蒸発量を測定して、オアシスⅡからの水分蒸発量との差を比較しています。まだ20日間の数値の比較ですがオアシスⅡの芝生と保水された緑化ブロックと、オアシスⅡの周囲の水分の蒸発量の差は、ほぼ0.3㍑/㎡・日の数値で推移しています。これから冬にかけて気温が下がるとともにオアシスⅡからの水分蒸発量と周囲の水分蒸発量の差がどのように変化するのか楽しみですね。11月22日撮影

福徳岡ノ場の軽石でr芝生を育てる6 2023年11月12日

新宿事務所のベランダで芝生の広場オアシスⅡの試作品で芝生を育てていますが11月3日から11月12日までのオアシスⅡへの給水量のデータがまとまりました。今回はオアシスⅡで育てている芝生からの水分蒸発量を計測するために計量器に入れた水の蒸発量も比較しました。

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今回の測定で分かったことは芝生への給水のインターバルは前回と同じく10日で、芝生を載せたオアシスⅡへの平均給水量は2.3㍑/㎡・日でこれも前回測定した11月2日までの平均給水量と同じでした。これに対して計量器から蒸発した水分量は2㍑/㎡・日でした。

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オアシスⅡへの給水量と計量器から蒸発した水分量を引くと0.3㍑/㎡・日という差が出ます。これはオアシスⅡで成長している芝生と緑化ブロックに保水されている水のからの1日当たりの水分蒸発量が、オアシスⅡの周囲に水の蒸発量よりも多いということですね。11月12日撮影

福徳岡ノ場の軽石で芝生を育てる5 2023年11月02日

新宿事務所のベランダで福徳岡ノ場の軽石を使用したオアシスⅡの試作品でクリーピングベントグラス007を育てていますが、葉が伸びて来たので芝刈りをしました。

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オアシスⅡの貯水量ですが、10月後半から11月の初めにかけて気温も徐々に下がってきたので給水のインターバルを10日に設定したところ2.3㍑/㎡・日の平均給水量になりました。

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これからは芝生からの水分の蒸発量と水からの水分蒸発量を比較するために計量器に水を貯水しました。オアシスⅡと水の蒸発量の違いがどのようになるか楽しみです。

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                       11月2日撮影

10月の新宿事務所 2023年10月30日

10月も終わりを迎えましたが、今年は気候も穏やかで新宿事務所のベランダの植物たちも元気です。8月の下旬から9月の初めに植栽装置オアシスの緑化ブロックの上にクリーピングベントグラスの種を蒔いたのですが、葉がよく伸びてきました。そろそろ芝刈りをしなければ。PA300001.jpg

カスケードブロックで育てているベゴニアも、新宿事務所のベランダの環境との相性が良いのでしょうか元気です。

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9月の初めにカスケードブロックにエデイブルフラワーのカレンジュラの種を蒔いたのですが、午後になると直射日光がよく当たる場所でよく伸びてきました。そろそろカスケードブロックの穴に株分けをしようと思います。

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ヒートアイランド東京のマンションベランダの植物たちも風と水、そして光の恩恵を受け、土の役割をするカスケードブロックや緑化ブロックに支えられながら元気に育ち続けています。10月30日撮影

福徳岡ノ場の軽石で芝生を育てる4 2023年10月23日

沖縄に流れ着いた福徳岡ノ場の軽石を使って緑化ブロックを作り芝生を育てて1年が経ちました。芝生は5月の連休中にブロックに貯水することが出来ずに枯れましたが9月の初めに改めて種を蒔いて育ち始めて現在に至っています。プレートに福徳岡ノ場の軽石で作った緑化ブロックを載せて灌水クロスで包み西洋芝の種を蒔いて芝生を育てる方法は芝生の広場オアシスⅡとしてシステム化されました。

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9月からはオアシスⅡの貯水量の計測を始めました。気温の高かった9月はオアシスⅡへは4㍑で8日のインターバルで貯水しましたが、10月も中旬に入り気温が下がり10月14日から23日まで9日のインターバルを取った貯水量は1日あたり2.5㍑でした。下記の表をご覧ください。

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これから気温はさらに下がりますが、生きた芝生を育てているオアシスⅡの貯水量がどのように変化するのか楽しみです。10月23日撮影

オアシスからの水分蒸発量の測定4 2023年10月06日

9月29日のblogでオアシスⅡへの貯水のインターバルを9日にして測定しますとお話ししましたが、ここにきて湿度が下がり北風も吹いてきたので、前回と同じく8日のインターバルで貯水したところ、思いがけないことに気が付きました。9月13日からオアシスⅡの貯水量と貯水のインターバルを測定しています。当初は4㍑貯水して7日のインターバルを置きました。次は8日のインターバルを置いて4㍑の水を貯水しました。オアシスⅡの芝生9月29日撮影

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ところが今回、9月28日から8日のインターバルで貯水したところ約2.6㍑の水しか貯水できませんでした。秋分を過ぎて気温が下がり始めたからでしょうね。そこで次回も貯水するまでのインターバルを8日にして貯水量を測定してみようと思います。貯水量にどのような変化が見られるか楽しみです。

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       オアシスⅡで育てているクリーピングベントグラスも元気です。 10月6日撮影

オアシスからの水分蒸発量の測定3 2023年09月29日

芝生の広場オアシスⅡの試作品に4㍑(約37㍑/㎡)の水を貯水して水分が蒸発してゆく様子を観察しています。前回は9月14日から20日まで、7日間のインターバルで水を貯水して芝生の成長の様子を観察しました。下の写真は9月20日のオアシスⅡの様子です。

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今回は9月21日から9月28日まで8日間のインターバルを置いて4㍑の水を貯水しました。下の写真は9月29日に撮影したオアシスⅡの写真です。

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秋分が過ぎて気温も下がり始め、西洋芝の成長に最適な25度から15度のゾーンに近づいてきました。これからクリーピングベントグラス007がどのように成長してゆくか楽しみです。次回はインターバルを9日にして貯水をしようと思います。

オアシスⅡからの水分蒸発量の測定2 2023年09月20日

9月13日から芝生の広場オアシスⅡの試作品に水を入れて、蒸発してゆく水分の変化について測定を始めました。まず33cmx33cmno貯水槽に30cmx30cmx4cmの緑化ブロックを置き、その上に灌水クロスを敷いて土を2cmほどの厚みで載せて芝生を育てているオアシスⅡに4㍑の水を貯水しました。およそ37㍑/㎡の貯水量です。下の写真は9月13日に4㍑の水を貯水した時のオアシスⅡの様子です。

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以前、新宿事務所のベランダでオアシス1で水分蒸発量を測定した年平均3.7㍑/㎡・日から想定すると10日後の9月23日にはオアシスⅡから水分がほぼ蒸発する計算ですが、オアシスⅡから完全に水が蒸発する前に芝生が枯れるのを心配して、3日早い9月20日にオアシスⅡに貯水しました。下の写真は水を加える前のオアシスⅡの写真です。9月20日撮影

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9月23日は秋分です。これから東京の気温も徐々に下がると思いますので芝生の成長具合をよく見ながら、オアシスⅡに貯水するインターバルを少しづつ伸ばしてゆこうと思います。

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          上の写真はオアシスⅡに水を4㍑貯水した写真です。9月20日撮影

芝生の広場オアシスⅡからの水分蒸発量の測定 2023年09月14日

新宿事務所のベランダで福徳岡ノ場の軽石を使用した芝生の広場オアシスⅡの試作品からの水分蒸発量の変化について測定を始めました。まず縦横33cm(内寸)の容器に緑化ブロック(縦横30cm、高さ4cm)を置きその上に土を2cmほどの厚みで載せて、芝生を種から育てます。この状態で4㍑の水を注いだ様子が下記の写真です。写真の左下に軽石が水に浮いているのがわかります。9月13日撮影

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翌日の朝、オアシスⅡの様子を見ると水が緑化ブロックと土に吸収されていることがわかります。写真左下の軽石が容器の底にありますね。9月15日撮影P1200541.jpg

内寸およそ33cmの容器に4㍑の水を注いだということは1平方メートル当たりおよそ37㍑の水が保水されているということです。2021年4月から2022年3月にかけて新宿事務所のベランダで芝生の広場オアシスで水分蒸発量を測定したところ、年間平均値でおよそ3.7㍑/㎡・日の水が蒸発しました。「芝生の広場オアシスⅡ」この数値をもとにこれから蒸発してゆく水分量を予測すると10日後、9月23日ごろにオアシスⅡからの水分は蒸発しきるということですが、これからどのように変化するか、芝生の成長と合わせて観察してみたいと思います。

9月の新宿事務所 2023年09月07日

9月に入り新宿事務所のベランダもようやく気温が落ち着いてきました。ベランダでは芝生の広場オアシスⅡの試験モデルを設置して様々な植物を育てています。下の写真の手前では天然砂利を使用したブミコンを緑化基盤としてツルニチニチソウを育てて3か月が経過しましたが、ツルニチニチソウは弦を横に伸ばしながら成長を続けています。

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5月の連休中に灌水が出来ずに枯れた、福徳岡ノ場の軽石を緑化基盤とした芝生は9月の初めにクリーピングベントグラス007の種を蒔いたところ発芽して葉を伸ばしてきました。

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今年の秋はカスケードブロックに種を蒔いて花を育てようと思います。下の写真のカスケードブロックには昨日、ビオラとキンギョソウの種を蒔きました。発芽してくれることを期待します。

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今年の夏もベゴニアはカスケードブロックで暑い夏を越しました。ベゴニアのたくましさに敬意を表したいですね。

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                      9月7日撮影

福島第一原発の処理途上水 2023年09月04日

ネットを見ていたら「福島第一原発の処理途上水の実情とは」という東京新聞の記事を見かけました。詳しい内容は記事をお読みいただくこととして、この中で放射能汚染を処理しなければならない水が134万トンほどあるとのことでした。先のブログで芝生の広場オアシスⅡを1000㎡設置すると年間の水分蒸発量がおよそ1314トンになるというお話をしました。「芝生の広場オアシスからの年間水分蒸発量」134万トンの水を芝生の広場オアシスⅡで蒸発させるとすると、これを数値で表すと1000㎡のオアシスⅡをおよそ1000か所設置すると1年で処理途上水を蒸発できるということですね。つまり芝生の広場オアシスⅡが100万平方メートルで1年かけて処理水を蒸発できるという計算です。

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私は原子力発電に関する詳しい知識はありませんが1979年にアメリカ、ペンシルバニア州のスリーマイル島で発生した原子力発電所の事故で87000トンのトリチウムを含む水を大気中に蒸発させたという事例を詳しく調べて、蒸発したトリチウムを含む水がスリーマイル島の周囲の環境にどのような影響を及ぼしたか知りたいものです。「日本政府、福島の水の海洋放出と水蒸気放出を提案2019年12月23日AP電」そしてその結果が、処理水を海洋に放出すること以下の影響を生命に及ぼすのであれば、福島の原子力発電所も処理水の大気中への蒸発という方法も選択できないでしょうか?写真は新宿御苑の芝生の広場です。新宿御苑の面積はおよそ58万㎡だそうです。9月1日撮影

芝生の広場オアシスからの年間水分蒸発量 2023年09月03日

大田区産業プラザPIOや新宿事務所のベランダにおける芝生の広場オアシスからの水分蒸発量はおよそ3.8㍑/㎡(大田区産業プラザ)から3.6㍑/㎡(新宿事務所)でした。大田区産業プラザPIOでの芝生の広場オアシスの設置場所は1年を通して雨が当たり、春夏には直射日光が当たる環境でした。一方新宿事務所の芝生の広場オアシスⅡの設置場所は1年を通して雨や直射日光の当たらない環境でした。そして東京の年間降雨量は1528.8mm(4.2mm/㎡・日)です。

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芝生の広場オアシスからの水分蒸発量は芝生からの水分蒸発量が2.1㍑/㎡・日と、土からの水分蒸発量が1.5㍑/㎡・日を合わせて3.6㍑/㎡・日になります。以前神奈川県伊勢原市にあります山武asbil様の屋上でガーデンクリートを4cm施工してその上で芝生を育てたことがありました。施工面積は1000㎡でした。芝生の広場オアシスを1000㎡設置した場合、芝生と土からの水分蒸発量はおよそ3600㍑/日、1年を通しての水分蒸発量はおよそ1314000㍑、つまり1314トンになります。

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今、放射能汚染処理水の海洋放出が問題になっています。汚染処理水の処理方法につきましては以前のblogでもお話ししました。1979年3月にアメリカのペンシルヴァニア州スリーマイル島で発生した原子力発電所の事故では87000トンのトリチウム水を2年かけて蒸発させたようです。「芝生の水分蒸散力」1000m2の芝生の広場オアシスIIを100箇所施工するとおよそ年間131400トンの水を大気中に蒸発させる事が出来ます。

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芝生からの水分蒸発量の測定で分かったことは、芝生と土からの水分蒸発量を合わせると、地面からの水分蒸発量のおよそ2倍の水分が大気中に蒸発するということです。放射能汚染処理水の海洋放出はこれから30年ほど続くと言われています。芝生などの植物の力を借りて処理水を大気中に蒸発させる事で、海洋への放出時間を短縮する事をご提案いたします。関連サイト:芝生の広場オアシスⅡ

芝生の広場オアシスⅡ 2023年06月15日

「芝生の広場オアシスⅡ」のサイトがアップされました。ホームページの「緑化コンクリートに興味のある方へ」からご覧いただけます。コンクリートジャングルとアスファルト砂漠に覆われたヒートアイランド東京で、軽石を原料とした緑化基盤「ガーデンクリート」を開発して、芝生や様々な植物を育てて15年ほどが経ちました。開発のポイントは、アスファルトやコンクリートに覆われたヒートアイランドの表面を、保水性のある緑化基盤ガーデンクリートで覆うことで様々な植物を育てる環境を作ることです。そして灌水システムを組み合わせてガーデンクリートの保水性を補います。

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東京の年間降水量はおよそ4.2mm/㎡・日、緑化されたガーデンクリートからはおよそ3.6mm/㎡・日の水が蒸発することがわかりました。つまり東京では緑化されたガーデンクリートからの水分蒸発量は降雨量とほぼ同じであるということですね。ガーデンクリートを4cm厚みで施工すると保水量は12㍑/㎡です。これはガーデンクリートから蒸発するおよそ3日分の水量です。植物からは毎日水分が蒸発しますが、雨は毎日降り続けることはありません。そこでガーデンクリートと灌水システムを組み合わせて一年を通し継続して、植物から蒸発する水分を満たすシステムを開発してきました。

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もう一つの開発のポイントは地球からの贈り物である軽石の利用方法です。最近では日本近海の海底火山が噴火して発生した大量の軽石が沖縄に漂着しました。この大量の軽石を篩分け等の前処理をせずに緑化コンクリートとして利用するシステムを考え試験を行いました。それが「芝生の広場オアシスⅡ」です。「芝生の広場オアシスⅡ」の特徴は、軽石で緑化基盤ガーデンクリートを作り自然法則に従った灌水システムと組み合わせることで、様々な場所を緑化できることです。

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軽石も、大量に漂着すると人の生活にマイナスの影響を与えます。「芝生の広場オアシスⅡ」は、地球からの贈り物である軽石を利用して緑化基盤を作り、自然法則に従い植物に灌水しながら様々な場所を広く緑化するシステムです。

3月の新宿事務所 2023年03月20日

東京も春分を迎え日が伸びるとともに気温が上がってきました1週間前に芝刈りをした福徳岡ノ場の緑化ブロックも芝がすぐ伸びてきたので芝刈りをしました。

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一昨年の春から1年かけて芝生からの水分蒸発量を観測した緑化ブロックも、同じく昨年の10月から新しい種を蒔いて育てていますが無事に冬を越して葉が伸びてきました。写真の左上が十和田湖、右下が福徳岡ノ場の軽石で作った緑化ブロックの上で育っている芝生です。

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冬の間室内で育てたコーヒーの木を外に出しました。冬を外で過ごしたアレカヤシも無事に冬を乗り越えました。アレカヤシやコーヒー、そして室内で育てているパキラを手作りフラワーポットで育てて6年が経ちました。手作りフラワーポット

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こうしてみると、水と空気と光に恵まれた空間であれば土の量が少なくても植物たちは元気に育ち続けることがわかります。そして軽石でできた手作りフラワーポットや緑化ブロックが少ない土の役割を補っているのでしょうね。3月20日撮影

福徳岡ノ場の軽石で芝生を育てる 3 2023年03月11日

福徳岡ノ場の軽石で緑化ブロックを作り芝生の種を蒔いて新宿事務所のベランダで育てて5か月が経過しました。芝生はヒートアイランド東京の冬を無事に乗り越えて葉も長くまりました。P3110005.jpg

東京は3月に入り気温が上昇してきたので芝生の散髪をしてやりました。はじめは軽石に含まれた海水の塩分が芝生の成長にどのような影響を及ぼすか心配でしたが、クリーピングベントグラス007は冬の間も成長を続けてきました。灌水クロスをブロックと芝生の間に挟んで給水したこともよかったようですね。

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これからは西洋芝を育てるのに理想的な気候になります。そして芝生の成長もさらに高まると思いますので、芝刈りがしやすいように緑化ブロックの位置を変えてやることにしました。

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西洋芝を育てるのに理想的な気温は15度から25度ぐらいと言われています。これから初夏に向けて芝生がどのように育ってゆくか楽しみです。3月11日撮影

室温と湿度の推移 2023年03月01日

今日から3月です。10月の中旬から始めた新宿事務所の室内の気温と湿度の測定ですが3月1日までの数値がまとまりました。湿度は10月から12月の中旬に向けて徐々に落ちていきましたが、12月の中旬から3月1日までの数値はほぼ横ばいに推移しています。グラフでギザギザの山が見えるのは、雨や雪の影響です。湿度は外気の変化に敏感に反応するようです。

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室温は10月中旬から12月の初めにかけてほぼ横ばいだったのが、12月の初めに急に下がりその後は横ばいで推移しました。今年の東京は1月26日前後に大きな寒気に覆われて、室温も急に下がったのですがその後は徐々に上がってきました。

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測定機器は気温と湿度の測定ができるデジタル時計です。測定は朝事務所に入ってすぐに行いました。ちなみに室内では空調機による暖房は行わずに冬を越しました。精度の高い観測とは言えませんが秋から冬、そして春にかけての室温と湿度の推移の傾向は把握することが出来たと思います。この間にペットボトルのミントも葉と根を伸ばしながら成長を続けています。

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10月の中旬にベランダで、緑化ブロックに灌水クロスを敷いた上に種を蒔いた西洋芝007も無事に冬を越して春を迎えました。3月1日撮影

塩は植物の栄養素 2023年02月16日

先日、ある本を読んでいたら面白い記述を見かけました。「イスラエルの砂漠は塩性のため、そこの水は塩分を含んでおり、塩辛い。これは一見農業には不向きに見える。ところがこの水を真水に10%ほど加えると、その水は植物を育てるのにかえって適しているのだ。」ユダや人に学ぶ日本の品格 E コーヘン著 PHP研究所

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海水を含んだ福徳岡ノ場の軽石で緑化ブロックを作り、灌水クロスで覆い芝生の種を蒔いてから4か月がたちました。芝生はご覧の通り元気に育ち続けています。当社で開発した緑化システムにはイスラエルの緑化の技術が活かされています。しかし塩分を利用して植物を育てるという発想には驚きました。

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当社で開発した緑化システムは植物の根に直接灌水するシステムですが、植物の根を支える緑化ブロックと植物の間に灌水クロスを挟み、真水を流すことで植物が吸収する水の塩分濃度が薄まり、塩分に含まれているマグネシウムなどのミネラルが、植物に適した量の栄養素となって吸収されるのでしょうね。

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芝生もヒートアイランド東京の新宿のベランダで寒い冬を過ごしていますが、あとひと月もすると気温も上がるので、時期を見計らって芝刈りをしようと思います。関連ブログ:福徳岡ノ場の軽石で断熱緑化コンクリートを作る 2月16日撮影

福徳岡ノ場の軽石で芝生を育てる2 2023年01月16日

福徳岡ノ場の軽石で緑化ブロックを作り灌水クロスで覆い薄く砂を載せて、西洋芝クリーピングベントグラス007の種を蒔いて3か月がたちました。P1170142.JPG

種が発芽して3週間ほどで葉が成長しましたが、季節が冬に向けて気温が下がったせいかその後は大きな伸びは見えません。その中で芝生は元気に緑を保ち続けています。

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芝生を育てている場所は西向きのベランダで直射日光は当たりませんが芝生はここまで生き延びてきました。東京はこれから2月にかけてさらに気温が下がりますが、その中でクリーピングベントグラス007のたくましい成長力に期待したいと思います。1月16日撮影 関連ブログ:福徳岡ノ場の軽石で芝生を育てる

12月の新宿事務所 2022年12月03日

12月に入りベランダの植物の植え替えをしました。これから来年の春にかけてカスケードブロックで育てる植物はビオラです。

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ベランダも寒くなってきたのでのコーヒーを室内に移しました。これからコーヒーの木は手作りフラワーポットに支えられながら暖かい冬を過ごします。

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10月の中旬に、福徳岡ノ場の軽石で作った緑化ブロックにクリーピングベントグラス007の種を蒔いたのですが順調に育ってきました。

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カスケードブロックや手作りフラワーポット、そして緑化ブロックで育てている植物たちも冬に向けて生きるための準備を進めています。 12月3日撮影

福徳岡ノ場の軽石で芝生を育てる 2022年11月07日

福徳岡ノ場の軽石で緑化ブロックを作り西洋芝の種を蒔いて3週間が経過しました。以前、緑化ブロックに直接芝生の種を蒔いたところ、発芽はしたのですが葉が成長するまでは育ちませんでした。    福徳岡ノ場軽石で作った緑化ブロック

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そこで今回は緑化ブロックを灌水クロスで覆い薄く土を敷いた上にクリーピングベントグラス007の種を蒔きました。10月15日撮影

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発芽した種はおよそ3週間で葉を伸ばしてきました。芝生を育てている場所は新宿事務所の西向きのベランダですが、午後になり光が届く時間が少しあります。11月7日撮影

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軽石で緑化ブロックを作り芝生を育てる経験は過去に何度もあるのですが、今回使用する福徳岡ノ場の軽石は、本州の南で噴火して海流や風に流されて沖縄にたどり着いいた軽石なので海水に含まれている塩分を結構吸っています。今回はこの軽石を洗うことなく利用していますが、塩分を含んだ緑化ブロックで天然芝がどこまで育つか楽しみです。

世界各地の芝生が育つ水の循環予想 2022年08月18日

先のブログで世界各地で植物が育つ水の循環を調べたいというお話をしました。水の循環  今回は新宿事務所で測定した芝生からの水分蒸発量・気温・湿度の実測値をもとにして、台北、シンガポール、バンコック、エルサレムの水の循環の予想をしてみました。新宿の降水量と各地の気温、湿度、降水量などのデータは理科年表2019年度版から引用しています。下の表をご覧ください。

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こうして各地の都市の測定値を見ると各都市の特徴がよくわかります。降水量が最も多いのは台北、バンコックは気温が最も高いのですが降水量はシンガポールや台北よりも少なく東京に近い数値です。そして砂漠に覆われたエルサレムはやはり降水量が少ないようですね。下のグラフをご覧ください。

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新宿事務所のベランダで植栽装置オアシスを使って芝生からの水分蒸発量を測定したところ、芝生からの水分蒸発量は気温に比例し、湿度に反比例する傾向が見られました。これらの現象を参考にして計算したのが世界各地の芝生からの水分蒸発量予測です。台北、シンガポール、バンコックは東京よりも平均気温が高いので芝生からの水分蒸発量も多くなることが予想されます。

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今回の都市の比較で難しかったのは東京よりも平均気温や降水量の少ないエルサレムの予想です。エルサレムの平均降水量は東京の半分以下の1.7mm/日です。ここで一つある予測をしてみました。新宿事務所のオアシスから蒸発していった水分蒸発量は芝生から直接蒸発した水分量と、オアシスの表面の土や緑化ブロックから蒸発した水分量を合わせて3.7㍑/㎡・日で、芝生からの水分蒸発量はその半分のおよそ2.1㍑/㎡・日ほどでした。エルサレムの平均気温は新宿事務所よりも低いこともあり、オアシス全体から蒸発する水分量を2.09㍑/㎡・日としました。その根拠は芝生から蒸発してゆく水分量だけを毎日灌水し続けることで芝生は命をつなぐことができるのではないかと考えました。

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エルサレムは砂漠を緑化した灌水システムの発祥の地であるイスラエルの首都ですね。植栽装置オアシスも、灌水システムお水番も必要最小限の水を供給し続ける底面灌水システムで、そのヒントと技術は砂漠を緑化し続けているイスラエルの灌水システムにあります。

The Grass is alive 2022年08月10日

新宿事務所のベランダで観測した芝生からの水分蒸発量の観察記録「芝生は生きている」の英文パワーポイントデータ「The Grass is alive」がアップされました。ホームページの英文資料ダウンロードからご覧いただけます。

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今回の観察記録はヒートアイランド東京のマンションベランダにおける、緑化ブロックを組み合わせた植栽装置オアシスからの芝生からの水分蒸発量の記録ですが、海外の都市でもその地域の年間降水量、気温、湿度をもとにして芝生からの水分蒸発量を予測したり、植栽装置オアシスを利用して記録することができると思います。

「芝生は生きている」パワーポイントデータがアップされました 2022年07月12日

芝生の水分蒸発量と温度、湿度の関係を観察したブログ「芝生は生きている」がパワーポイントデータとしてホームページにアップされました。芝生は生きているフロントページの資料ダウンロードからもご覧いただけます。フロントページ

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芝生は周囲の温度、湿度、風など環境の変化に合わせて根から水分を体内に吸収し、茎や葉から蒸発させて体内の水分を調整します。その様子を1年を通して記録にまとめて、傾向をグラフで表現できたことはうれしい限りです。ご興味のある方はご覧ください。

環境の変化に順応する芝生からの水分蒸発量 2022年07月01日

昨年の4月から今年の3月まで新宿事務所のベランダで芝生からの水分蒸発量と、周囲の気温と湿度の変化について観察しました。芝生も温湿度計もベランダの直射日光や雨が当たらない場所に設置しました。1年を通して芝生からの水分蒸発量と気温・湿度の変化をグラフにしましたのでご覧ください。グラフでの変化を見やすくするために芝生からの水分蒸発量は、測定の数値を10倍して表記しています。

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芝生からの水分蒸発量と気温の変化を表したのが下記のグラフです。気温は春から夏に向けて上がり冬に向けて下がります。そして芝生からの水分蒸発量は基本的に気温の変化に比例するようにして変化しますが、湿度の変化にも影響されているようです。例えば春から梅雨にかけて湿度が上昇すると芝生からの水分蒸発量は湿度の変化に反比例するように下がるのですが、気温の上昇が進む6月の下旬から突然上昇します。これは太陽からのエネルギーの強さが芝生と湿度の間のバランス以上に影響しているからではないかと思います。

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芝生からの水分蒸発量と湿度の変化を表したのが下記のグラフです。芝生からの水分蒸発量と湿度とは基本的に反比例する傾向ですが、夏になり太陽光のエネルギーが強くなるとこのバランスが崩れて芝生からの水分蒸発量は上昇します。そして冬になり気温が下がると湿度はほぼ横ばいに推移するのに対して、芝生からの水分蒸発量は下がります。この傾向にも太陽光のエネルギーの減少が影響しているのではないでしょうか?芝生が光合成で利用する水分量はごくわずかで、多くの水分が葉から蒸発して芝生の水分量を調整します。太陽光のエネルギーが強いときは蒸発してゆく水分も多く、太陽光のエネルギーが芝生にあたる量が少なくなると蒸発してゆく水分量も少なくなります。芝生は周囲の環境の変化を敏感に感じながら根から水分を吸収し、葉から水分を蒸発さて、枯れるのを防ぎながら生命をつないでいます。

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芝生からの水分蒸発量は気温や湿度の変化、風に影響されて変化します。そして気温や湿度の変化は太陽から地球に降り注がれる太陽光のエネルギー量の変化によって決まります。

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              新宿御苑の芝生の広場 6月28日撮影

芝生は生きている 2022年04月09日

昨年の4月から今月の初めまで、1年を通して新宿事務所のベランダで測定した、芝生から蒸発してゆく水分の変化をまとめたブログ「芝生は生きている」が、ホームページ「ヒートアイランド現象対策に興味のある方へ」からもご覧いただけるようになりました。「ヒートアイランド現象対策に興味のある方へ」一番下のフッターをクリックしてご覧ください。

今回の測定でわかったことの一つは計量容器から蒸発していった水量の年間平均値が1.5㍑/㎡・日であったことです。計量容器を置いた場所は1年を通して雨が当たりません。つまり地上の水や水分を含んだ土からは平均して毎日およそ1.5㍑/㎡・日の水が蒸発してゆくようです。そして植栽装置オアシスからの水分の蒸発量の年間平均値が3.7㍑/㎡・日であったことは、植栽装置オアシスを構成している、水や土、そして緑化ブロックから蒸発してゆく水分蒸発量に、芝生を通して大気中に蒸発していった水分が加わったということだと思います。

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今回の測定を通して地上の水や水分を含む土、そして芝生からは1日当たりおよそ1.5~2㍑/㎡・日の水分が大気中に蒸発する現象が続いていることがわかりました。水分が大気中に蒸発することで地表に発生する気化熱の働きで太陽からの輻射熱を軽減できます。コンクリートやアスファルトは水を含むことができないので気化熱が発生せず、太陽からの輻射熱を軽減できないので熱は内部に蓄熱します。それでコンクリートジャングルとアスファルト砂漠に覆われた都市ではヒートアイランド現象が発生するということですね。

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        新宿御苑の芝生の広場では大地から芝生の葉が芽吹いてきました。4月9日撮影

芝生から蒸発してゆく水分量20 2022年04月06日

2021年4月6日から2022年4月5日までの新宿事務所のベランダに設置した植栽装置オアシスから蒸発してゆく芝生の水分蒸発量のデータがまとまりました。年平均値に置き換えると植栽装置オアシスから蒸発していった水分量は3.7㍑/㎡・日、計量容器から蒸発していった水分量が1.5㍑/㎡・日でした。そして植栽装置オアシスから蒸発していった水分量から計量容器から蒸発していった水分量を差し引くと2.1㍑/㎡・日でした。

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以前2018年10月から2019年10月まで、大田区産業プラザPIOのテラスに設置したテストフィールドで灌水装置お水番で芝生を育てて、お水番から蒸発してゆく水分量を測定したところ年間の平均値はおよそ3.8㍑/㎡・日でした。PIOのテラスは1年を通して雨が降り直射日光も当たる環境でした。

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今回、植栽装置オアシスで芝生から蒸発した水分量を測定した新宿事務所のベランダは、建物の上の階のベランダが庇の働きをしていて1年を通してオアシスや計量容器に雨が当たることはありません。このような環境で測定された数値の平均が3.7㍑/㎡・日と、PIOのテラスのお水番で測定した平均値3.8㍑/㎡・日とほぼ同じであったことに驚いています。

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今回の新宿事務所のベランダでの測定では1年を通して計量容器から蒸発してゆく水分量も測定しました。その数値は冒頭に述べたように1.5㍑/㎡・日でした。これは芝生を載せた植栽装置オアシスから蒸発した水分量から計量容器から蒸発した水分量を差し引いた残りが芝生から蒸発していった水分量と考えられないでしょうか?

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今回測定した場所は雨が当たらないとともに、直射日光が当たらない日陰で西洋芝の成長にとっては厳しい環境でした。その中で1年を通して芝生は水分を緑化ブロックを通して根から吸収し、葉から蒸発させて生命をつないできました。その様子を数字で表すことができたのは大きな喜びです。

芝生から蒸発してゆく水分量19 2022年04月05日

3月16日から4月5日までの芝生から蒸発してゆく水分量のデータがまとまりました。これで昨年の4月6日から始めた1年にわたる植栽装置オアシスから蒸発してゆく水分量の観測データがまとまりました。

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今回測定した3月16日から4月5日までの測定値をみると、前の測定期間2月26日から3月14日までの測定値と比べて芝生からの水分蒸発量と湿度がふえました。そして芝生を除いた植栽装置オアシスからの水分量は減り気温はほぼ横ばいでした。

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今回の測定で気温がほぼ横ばい、そして湿度が上昇した中で芝生からの水分蒸発量が増えた要因の一つとして芝生の成長が始まったことが考えられます。3月中旬ごろから植栽装置オアシスの芝生は再び成長を始めたようです。芝生からの水分蒸発量が増えるとともに芝生を除いた植栽装置からの水分蒸発量が減り始めました。

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新宿御苑の芝生の広場では、うっすら伸び始めた芝生の上に桜の花びらが散っていました。これから東京も本格的な春の季節を迎えます。

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                    4月5日撮影

芝生から蒸発してゆく水分量18 2022年03月15日

2月26日から3月14日までの芝生から蒸発してゆく分量のデータがまとまりました。今回は植栽装置オアシスから水が完全に蒸発してゆくのに17日かかりましたが、前回の測定期間よりも日数が2日短くなりました。

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今回の測定では気温や湿度が上昇に転じたことがわかります。芝生からの水分蒸発量は前回の測定よりも少し下がりました。今回の測定の大きな特徴は、芝生からの水分量を除いた植栽装置オアシスの土や水からの水分蒸発量の伸びが大きかったことです。

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気温や湿度が上昇した中で植栽装置オアシスからの水や土からの水分蒸発量が増えて、芝生からの水分蒸発量が減ったのは、芝生からの水分蒸発量が湿度の増加と反比例しているのでしょうか?そして土や水からの水分蒸発量は気温の上昇に比例しているのでしょうか?

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東京も春の気候に変わりました。新宿御苑の広場の芝生もうっすらと緑色の芽を出し始めたようです。

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                   3月15日撮影

芝生から蒸発してゆく水分量17 2022年02月26日

2月8日から2月26日までの芝生から大気に蒸発してゆく水分量の観測データがまとまりました。今回は2月の測定で期間中の気温は低く横ばいに推移しました。

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その中で芝生からの水分蒸発量と湿度が上昇し、芝生を除いた植栽装置オアシスからの水分蒸発量は下がりました。

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今回の測定期間中、芝生からの水分蒸発量が増えたということは早春を迎えて芝生の活動が活発になり始めたということかもしれませんね。

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新宿御苑の芝生の広場では気温が暖かくなり、芝生よりも先に人が眠りから覚めて寛いでいました。
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                2月26日撮影

芝生から蒸発してゆく水分量16 2022年02月08日

1月22日から2月8日までの芝生から大気に蒸発してゆく水分量のデータがまとまりました。今回は測定期間中の気温が下がり、植栽装置オアシスから水分が完全に蒸発するまで前回より2日延びて18日かかりました。

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今回は前回(1月6日から1月22日まで)の測定期間と比べて気温が0.3℃、湿度が4%下がったのに対して芝生からの水分蒸発量は横ばいで大きな変化はありませんでした。東京は気温が最も下がる季節を迎える中で、芝生からの水分蒸発量に変化が見られないということは、芝生が寒さの中で活動を続けるために必要な最小限の水分を蒸発させているということでしょうか?

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今回の測定期間中、芝生からの水分量を除いた植栽装置オアシスから蒸発した水分量も、前回の測定期間とほぼ同じでした。東京は気温が最も下がる期間を迎えて芝生の活動が停滞するとともに、土や水から蒸発してゆく水分量も底を迎えているようです。(今回は前回からの芝生から蒸発した水分量の推移と芝生を除いた植栽装置オアシスからの水分蒸発量の推移が同じなので、グラフでは芝生からの推移が芝生を除いた数値の下に隠れています。)

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立春が過ぎましたが今週は東京にも雪が降る予報が出ています。新宿御苑の広場の芝生は寒さに耐えながら春を待ちわびているようですね。

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                        2月8日撮影

芝生から蒸発してゆく水分量15 2022年01月22日

1月6日から1月22日までの16日間の芝生から大気に蒸発してゆく水分量のデータがまとまりました。今回は前回の観測と比べて湿度と気温が若干増えたのに対して芝生からの水分蒸発量は減りました。やはり大気中の湿度や気温と芝生からの水分蒸発量の推移には相対的な関係があるようですね。

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一方で今回も、芝生からの水分蒸発量を除いた植栽装置オアシスからの水分蒸発量には大きな変化が見られませんでした。地球規模で覆われている土や水からの水分の蒸発量はの変化は、その上で生命の営みを行っている生物の水分蒸発量よりもスケールが大きいようですね。つまり太陽から地球に届くエネルギーに対する地球の反応と、生物にスポット的に届くエネルギーに対する生物の反応には大きな違いがあるということですね。

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新宿御苑の広場の芝生もまだ休眠中ですが、冬至から一月が経ち太陽の当たる時間も長くなってきました。そろそろ芝生も春に向けての活動の準備を始めているようです。

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                           1月22日撮影

芝生から蒸発してゆく水分量14 2022年01月06日

12月23日から1月6日までの芝生から大気に蒸発してゆく水分量のデータがまとまりました。今回の期間は晴れの日の連続で湿度が下がり芝生からの水分量が増ました。やはり大気中の湿度と芝生からの水分蒸発量の変化は反比例するようですね。

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一方で芝生からの水分蒸発量を除いた、植栽装置オアシスからの水分蒸発量には大きな変化がみられませんでした。9月の秋分の日を過ぎて以来、植栽装置オアシスからの水分蒸発量は安定しているようです。秋分を過ぎてからの東京の気温と湿度の変化と、地面や水面からの水分の蒸発量の変化に何か関係がみられるのでしょうか?

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新宿御苑の芝生の広場は、完全に休眠に入ったようです。これから東京も立春が過ぎるまで真冬の気候が続くのでしょうか?春の訪れが待ち遠しいです。

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                   1月6日撮影

芝生から蒸発してゆく水分量13 2021年12月23日

12月3日から12月23日までの芝生から大気に蒸発してゆく水分量のデータがまとまりました。今回の測定では気温が下がり湿度が上がった環境で芝生からの水分量が減ったことがわかりました。

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芝生からの水分蒸発量が減った要因は気温が下がった中で湿度が増えたことや、気温が下がったことで芝生が生命を維持するために体外に蒸発させる水分量が少なくなったことなどが考えられます。

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芝生からの水分量が下がった中で、植栽装置オアシスからの水分蒸発量が芝生ほどの落ち込みが見られなかったということは、土や水からの水分の蒸発量は自然の法則に従って気温と湿度に反応しているのでしょうか?

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気温が下がり新宿御苑の広場の芝生も冬の眠りについたようですね。植栽装置オアシスの西洋芝は冬でも光合成などの活動を続けますが寒さの中で活動量も下がり、水分の蒸発量が減ってきたような気がします。 12月23日撮影

芝生から蒸発してゆく水分量12 2021年12月02日

11月15日から12月2日までの芝生から大気に蒸発してゆく水分量のデータがまとまりました。今回の測定では気温や湿度が下がったのに対して芝生からの水分蒸発量は増えたました。

211202表.png気温や湿度が下がったのに芝生からの水分蒸発量が若干ではありますが増えたことは芝生が生きていることの証ですね。

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先の測定では気温や湿度が下がっても芝生を除いた植栽装置オアシスからの水分蒸発量が横ばいであったのに対し、今回は蒸発量が若干下がりました。やはり土や水からの水分蒸発量は気温や湿度が下がるとともに減る傾向にあるのでしょうか?

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新宿御苑の広場の芝生も黄色くなりました。御苑の芝生は気温が下がるにつれて活動を徐々に停止して休眠するのですが、植栽装置オアシスで育てている芝生は西洋芝クリーピングベントグラスなので気温が下がっても緑色を保ちながら光合成を続け、体内の水分量を蒸発することで調整しているようです。

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                        12月2日撮影

芝生から蒸発してゆく水分量11 2021年11月16日

10月29日から11月15日までの芝生から大気に蒸発してゆく水分量のデータがまとまりました。11月に入り気温が20度を下回り湿度も40%を下回る日が続き、芝生からの水分量も減ってきたようです。

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芝生からの水分蒸発量は気温に比例し、湿度とは反比例して増えたり減ったりしますが、気温が下がるにつれて気温からの影響を強く受けるようになったのでしょうか?211116グラフ.pngその中で植栽装置オアシスからの水分蒸発量には大きな変化がありませんでした。土や水からの水分蒸発量は生きている芝生からの水分蒸発量とは仕組みが違うようですね。

211116グラフ2.png11月も中旬を迎え気温が20度を下回る日が続き新宿御苑の広場の芝生も黄色くなってきました。芝生も活動を減らしながら休眠を迎えているようですね。

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芝生から蒸発してゆく水分量10 2021年10月30日

10月13日から10月29日までの芝生から大気に蒸発してゆく水分量のデータがまとまりました。今年の東京は10月の中旬から気候も落ち着いて晴れの日が続いています。大気中の湿度が下がるにつれて芝生から蒸発してゆく水分は増えたようです。

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新宿事務所のベランダは北からの風の通りがよく芝生からの水分蒸発にも影響を与えているようです。

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芝生からの水分蒸発量を除いた植栽装置からの水分蒸発量が前回の測定期間の数値と同じであったのに対して、全体の表面積の広い芝生は、風が表面に当たり乾燥するのを防ぐために、自らの意思で水分の蒸発量を増やししていることでわかります。下記のグラフをご覧ください。

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新宿御苑の芝生も緑から黄に変色しながら、冬に向けて休眠の準備を進めているようですね。

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                  10月30日撮影

芝生から蒸発してゆく水分量9 2021年10月14日

 9月24日から10月13日までの芝生から大気に蒸発してゆく水分量のデータがまとまりまりました。東京の気候も10月に入りようやく晴れの日が続くようになりました。晴れの日と雨曇りの日数はほぼ同じでした。しかも気温は10月の気温とは思えないような暑い日がありました。

211013表.png今回の測定では湿度と気温が下がったのに対して灌水装置や芝生から大気に蒸発してゆく水分量は再び上昇を始めました。以前のblogでも話しましたが大気中の湿度と芝生からの水分蒸発量は反比例し、気温と芝生からの水分蒸発量は比例する傾向がみられるようです。

211013グラフ.png秋から冬に向けて東京の気候は湿度と気温が下がりますが、芝生から大気に蒸発してゆく水分量がどのような反応を示してゆくのか楽しみですね。ちなみに植物栽培装置オアシスで育てている芝生は西洋芝クリーピングベントグラスで冬になっても休眠することなく日々の活動を続けます。

PA140431.JPG新宿御苑の芝生は高麗芝系で、冬に向けて休眠する準備を進めています。10月14日撮影

都市を潤す植物からの水分蒸発量 2021年09月28日

先のblogの続きですが、植栽装置オアシスから蒸発した水分量から、芝生のみの水分蒸発量のお話しをしようと思います。4月から9月までの間に植栽装置オアシスから蒸発した平均蒸発量は4㍑/㎡・日でした。

210927表.png植栽装置オアシスから蒸発した水分量は、芝生から蒸発した水分量、芝生の周囲の土や緑化ブロックヒルダから蒸発した水分量、そしてオアシスのタンクから蒸発した水分量に分けられます。

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今回の観測では植栽装置オアシスの横に計量カップを置き、カップから蒸発してゆく水量を計測しました。そして植栽装置オアシスからの水分蒸発量の平均値4r㍑/㎡・日から計量カップからの水分蒸発量の平均1.7㍑/㎡・日を引いた2.3㍑/㎡/日を芝生のみの水分蒸発量としました。この数値を見ると芝生からの水分蒸発量は、水や土、緑化ブロックヒルダから蒸発水分量よりも0.6㍑/㎡・日多い結果になりました。芝生のみからの水分蒸発量は周囲の水や土などよりも1日当たり約26%多いことになりますね。これは土壌に芝生などの植物が生息することで、土壌から自然に蒸発してゆく水分量に加えて、1日当たりより多くの水分を大気に蒸発することができるということです。

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以前私は植物は自らの意思で土中の水分を吸収して体内に取り込み消費したり体外に蒸発させたりする能力があるお話をしました。土壌を潤す植物の力そして土中の水分を吸収する植物の根の周囲は毛細管現象の働きで土が濡れることもお話ししました。つまり植物が生きていることで土壌の砂漠化が防げるということですね。都市から植物が消えたことで砂漠化が進み、廃墟となった都市の事例は過去の人類の歴史を見るとよくわかります。写真は豊かな緑に囲まれた台湾閣(新宿御苑)9月28日撮影

灌水装置オアシスから大気に蒸発してゆく水分量 2021年4月から9月 2021年09月27日

2021年4月から9月までの新宿事務所のベランダに設置した植栽装置オアシスからの水分蒸発量の平均値は4㍑/㎡・日ででした。この数値は2018年10月から2019年10月までの大田区産業プラザのテラスに設置された自然灌水システムお水番から蒸発した平均蒸発量3.8㍑/㎡・日に近い数値でした。

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新宿事務所のベランダに設置された植栽装置オアシスの取り巻く環境は、外部から雨が降ることはなく直射日光が当たることもありません。そして4月から9月までという春から夏にかけての半年間の観測です。一方、大田区産業プラザのテラスに設置された自然灌水システムお水番は、雨が当たり、直射日光も当たる環境でした。そして期間も2018年10月から2019年10月までと1年に及ぶ観測でした。芝生をめぐる水の循環

              自然灌水システムお水番

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                 植栽装置オアシス

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上の図を見ていただければわかると思いますが、自然灌水装置お水番も植栽装置オアシスも緑化ブロックヒルダの上に灌水クロスを載せて、毛細管現象を利用して底面から灌水クロスを通して水を吸い上げて、その上に土を薄く敷いて芝生を育てる植物栽培システムです。それぞれ設置された場所が、雨や日光が当たったり当たらなかったりと違いますが、芝生に灌水される水分量はお水番が3.8㍑/㎡・日、そしてオアシスが4㍑/㎡・日とほぼ同じであったのは驚きです。新宿事務所では4月から9月までとまだ1年の半分、しかも春から夏にかけての観測でした。

P9270037.JPGこれから秋から冬にかけて、植栽装置オアシスからの水分蒸発量がどのように変化してゆくか興味深く観察しようと思います。写真は新宿事務所に向かう途中で見かけたフヨウの花です。9月27日撮影

芝生から蒸発してゆく水分量8 2021年09月24日

9月8日から9月24日までの芝生から大気に蒸発してゆく水分量のデータがまとまりました。9月に入っても東京の天気は雨曇りの日が多く観測した20日間の間で晴れた日は8日でした。9月に入り、すべての測定データの数値が8月と比べて下降を始めたことが観測されました。そして数値の下降率を詳しくみると芝生からの水分蒸発量と湿度の下降率が約13%と均衡していました。また計量容器からの平均蒸発量と芝生を除いた灌水装置からの蒸発量の下降率もほぼ50%で均衡していました。

210924表.png4月から観測を始めて梅雨が明けるまでは、芝生からの水分蒸発量は大気中の湿度の変化と反比例しましたが、梅雨が明けて気温が高くなると湿度が下がり芝生からの水分蒸発量は一時期増えました。今年の東京は雨曇りの日が続き再び湿度が上がり芝生からの水分蒸発量が減る傾向が続きました。そして9月も中旬が過ぎて大気中の湿度が下がるにつれて、下降を続けていた芝生からの水分蒸発量も下降率がやや落ちて、湿度の下降率に比例するように下がり始めたようです。

210924グラフ.png4月から始まった観測ですが春から梅雨、夏、そして夏の終わりにかけて芝生からの水分蒸発量は、大気中の湿度の変化に反応しながら推移してきました。東京も秋の気候を迎えています。これから芝生からの水分蒸発量が大気中の湿度の変化にどのように反応してゆくか楽しみです。

P9240002.JPG           新宿御苑の芝生の広場 9月24日撮影

芝生から蒸発してゆく水分量7 2021年09月06日

8月18日から9月4日までの芝生から大気に蒸発してゆく水分量のデータがまとまりました。東京は8月の後半になっても雨曇りの日が多く、観測期間中で晴れた日はわずか5日でした。芝生からの水分蒸発量は、気温や湿度のほかに太陽からの光が影響しているような気がします。

210904表.png8月も後半に入り雨曇りの日が続く中で湿度は再び上昇を始めました。そして気温は下降を始めたようです。このような環境の変化に芝生は敏感に反応して水分蒸発量が下がりました。一方で芝生からの水分蒸発量を引いた、土や水から大気に蒸発してゆく水分量は少し上昇したようです。下記のグラフをご覧ください。

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灌水装置オアシスからおよそ5㍑の水が完全に蒸発するのに、8月2日から18日までは16日間、そして8月18日から9月4日まで17日間でその差は1日です。つまり灌水装置オアシスの芝生や土、そして水から蒸発してゆく水分量を吸収する大気には、水蒸気を吸収する限度があるようです。大気の飽和状態ですね。そしてこの飽和状態を作り出すのが、その時々の気温と湿度,そして気圧です。

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            霧雨に煙る新宿御苑の芝生の広場 9月4日撮影

芝生から大気に蒸発してゆく水分量6 2021年08月18日

8月2日から8月18日までの灌水装置オアシスから大気に蒸発した芝生の水分量のデータがまとまりました。オアシスのタンクを満水にして水分がなくなるまでの日数は16日でした。今年の東京は8月に入り7日から天気が雨曇りの日が続きました。大気中の湿度が増えそれに反比例するかのように芝生から大気に蒸発してゆく水分量が減ったことがグラフからよくわかります。気温も梅雨明けから続いた晴れの日の期間に比べて少し下がりました。

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湿度が低かった4月から5月にかけて、土からの水分蒸発量が芝生からの水分蒸発量を上回る時期がありましたが、気温と湿度が高くなるにつれて芝生からの水分r蒸発量が土からの水分蒸発量を上回りました。気温と湿度が高くなり芝生から大気中に蒸発してゆく水分蒸発量が土からよりも増えているということは、芝生が自らの意思で大気中の気温と湿度の変化に反応して水分蒸発量を増やしているからでしょうね。

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8月も中旬を過ぎて東京の天気もようやく回復してきました。これから再び暑い夏の気候が続くようですが8月の後半から9月にかけて、大気中の気温と湿度の変化に対して芝生がどのように反応してゆくのか楽しみです。

P1540057 (2).JPG            写真は緑が美しい新宿御苑の芝生です。8月18日撮影

8月の新宿御苑 2021年08月08日

8月7日は二十四節気の立秋。この日は太陽の位置が黄径135度にあり夏至と秋分のちょうど中間です。大陸性気候の中国では、このころから気温が下がり始めることを感じられるようですが海に囲まれた日本では湿度が勝り、気温の変化が感じられるのはまだ先ですね。昔の人はこの現象を残暑という言葉で現しました。

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人間は1年を通して移り変わる自然現象を気温や湿度で体感します。植物たちも体内の敏感なセンサーが働いて、気温と湿度に反応しているようですね。新宿事務所のベランダで芝生から蒸発してゆく水分量を観測しているのですが、芝生は周囲の気温や湿度の変化に反応しながら水分の蒸発量を調整しているようです。

210808グラフ.png上のグラフは4月初めから8月初めまでの春、梅雨、そして夏の芝生からの水分蒸発量と温度、湿度の変化をまとめたものですが梅雨が明けて夏に入り気温が上がり、湿度が下がると芝生からの水分蒸発量が増加に転じたことがわかります。

IMG-7326.jpgこれから秋分に向けて新宿御苑の植物たちが周囲の気温や湿度の変化にどのように反応してゆくのか眺めてゆこうと思います。新宿御苑8月7日撮影

芝生は生きている 2021年08月06日

新宿事務所のベランダで、植栽装置オアシスの上に西洋芝ベントグラス07の種を蒔いて芝生から蒸発してゆく水分蒸発量の変化の様子をまとめたサイト芝生は生きているがアップされました。

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新宿事務所のベランダでカスケードブロックや手作りフラワーポッドなどで様々な植物を育てていますが、その中で植栽装置オアシスで育てている西洋芝の灌水量が、冬に入ってほかの植物に比べて多いようだと気が付きました。「2月の新宿事務所」そこでオアシスから蒸発している芝生からの水分蒸発量を測定してみようと思い、オアシスを直射日光や雨の当たらない空調機の室外機の上に置いて4月上旬から本格的な測定を始めました。まだ春、梅雨、夏のデータしか測定されていませんがそれぞれの季節の気温や湿度の変化に応じて芝生からのからの水分蒸発量も変化しているようです。

P8060294.JPGネットのニュースを見ていたらアメリカのスリーマイル島の原子力発電所で起こった事故で発生した汚染水を蒸発して大気中に戻したという記事を見かけました。「日本政府、福島の水の海洋放出と水蒸気放出を提案」私は以前、福島の原子力発電所事故で発生した放射能汚染水から芝生のファイトレメデイエーションの力で放射性物質を芝生に吸着させるシステムを考えましたが、その当時は芝生の水分蒸発量については、あまり考えてはいませんでした。

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福島の原子力発電所の事故から10年が経過して、事故現場では汚染水を貯留したタンクがほぼ満杯になり、汚染水の海洋放出が検討されています。海洋放出される汚染水の量を少しでも減らすために芝生からの水分蒸発の機能が活かされないかと思いつつ、植栽装置オアシスからの芝生の水分蒸発量の変化を測定しています。これから夏を乗り越え秋、冬を迎えるにあたり、生きている芝生が自然環境(湿度と気温)にどのように対応してゆくのか楽しみです。

芝生からの水分蒸発量と湿度の関係 2021年08月05日

先のブログで4月6日から7月20日までの植栽装置オアシスで育てている西洋芝の水分蒸発量と湿度の関係のグラフを説明しました。

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今回は引き続き8月2日までのデータをもとにして、湿度と芝生からの水分蒸発量の推移の平均値を出してみました。このグラフを見てわかる傾向は、芝生からの蒸発量と湿度の平均値が4月から測定して、ほぼ横ばいだったのが梅雨に入り湿度が高くなるにつれて芝生からの蒸発量がさがり平均値も下がる傾向だったのが、梅雨明けとともに湿度が下がり芝生からの水分量が増えるにつれて平均値のグラフも上昇を始めたということです。

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芝生からの水分蒸発量を観測している場所は直射日光が当たらず雨も入り込まず、芝生からの水分蒸発量を観測には理想的な環境です。梅雨が明けて東京も夏の気候に入り気温がさらに高くなるにつれて芝生の動きも活発になってきたようです。

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ヒートアイランド東京の真夏の気候の中で伸び放題の西洋芝ベントグラス007が、これからどのように育ってゆくのか楽しみです。8月5日撮影

芝生から大気に蒸発してゆく水分量5 2021年08月03日

7月20日から8月2日までの植栽装置オアシスから大気に蒸発した水分量のデータがまとまりました。梅雨が明けてからの観測で、オアシスのタンクに貯留されたおよそ5㍑の水がなくなるまでの日数は13日でした。ちなみに梅雨の間に水が蒸発してタンクから水がなくなるまでの日数は21日でした。

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梅雨が明けて芝生から大気に蒸発してゆく水分量は3.74㍑/㎡・日と増加しました。同じ時期、水や土から蒸発してゆく水分量は約2㍑/㎡・日で芝生からの蒸発量の半分でした。気温が上がり湿度が下がるにつれて芝生からの水分蒸発量が増えたということは、芝生が周囲の環境の変化に対応したからでしょうね。芝生は生きています。芝生からの水分蒸発量の変化をとらえたグラフをご覧ください。

210803グラフ.png気温が上がり湿度が下がるにつれて芝生からの水分の蒸発量は大きく変化しました。ヒートアイランド東京では本格的な夏の気候がまだ続きます。これから灌水装置オアシスの周囲の気温と湿度が変化するにつれて芝生からの水分蒸発量がどのように変化してゆくのか楽しみですね。

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         写真は芝生の緑が美しい新宿御苑 8月3日撮影

芝生から大気に蒸発してゆく水分量4 2021年07月21日

6月29日から7月20日までの植栽装置オアシスから蒸発した芝生の蒸発水量のデータがまとまりました。

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6月29日から7月20日までの東京は梅雨の気候で7月16日に梅雨が明けました。今回の測定では湿度の上昇率が高く、それに伴い芝生や植栽装置オアシスからの水分の蒸発量が減少傾向に向かったのが大きな特徴でした。下のグラフでその傾向が読み取れます。

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このグラフを見て気が付いたことは、湿度の上昇グラフと、芝生やオアシスからの水分蒸発量の下降のグラフに対称性がみられることです。そこで湿度の推移の数値と芝生の蒸発量の推移の数値を足して2で割り平均値を出してみました。下記のグラフをご覧ください。

210721グラフ2.pngオレンジ色で示されたグラフが平均値の推移ですが、ほぼ横ばいでここに来て少し下降してきました。考えられることは、芝生からの水分蒸発量と大気中の湿度の間には、相互のバランスがある程度取れるポイント(飽和点)があり、ここにきて大気中の湿度の上昇に伴いそのポイントが下がる傾向がみられることです。

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しかし7月16日に梅雨が明けてからの晴れの日の1日当たりの芝生からの水分の蒸発量も再び増加し始めたようです。芝生からの水分蒸発量と湿度や気温の関係も夏の気候の中での観測に入りました。これから8月中旬に向けて芝生からの水分蒸発量がどのように変化してゆくのか楽しみです。

芝生が生きている証 2021年07月01日

先のブログで灌水装置全体からの水分蒸発量の変化と芝生からの水分蒸発量の変化の比較を、温度と湿度の変化を交えてお話ししました。

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今回は灌水装置全体から蒸発する水分蒸発量から芝生からの水分蒸発量を除いたデータと芝生からの水分蒸発量の変化を、温度と湿度の変化を交えてグラフにしてみました。

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このグラフでグレーの線で表示されているのが灌水装置全体から蒸発する水分蒸発量から芝生からの水分蒸発量を除いたデータの変化です。そして緑色で表示されているのが芝生からの水分蒸発量の変化です。グレーのグラフは湿度の青のグラフが4月下旬に下がった時にピークを迎えその後、下降して推移しています。一方で緑色の芝生の水分蒸発量のグラフもグレーのグラフと同じ時期にピークを迎え下降し始めますが、グレーのグラフを上回るポジションを保ちながら推移しています。

P7010001 (2).JPG4月の下旬から大気中の湿度や気温が上昇してゆく中で、芝生からの水分蒸発量が灌水装置、つまりガーデンクリートと表面の土よりも高いポジションを保つということは、無機質の土や緑化コンクリートと比べて芝生が生命を保つために水分の蒸散作用を続けている証ではないかと思います。これから夏にかけて気温や湿度が上昇してゆく中で、芝生からの水分蒸発量と、土やガーデンクリートからの水分蒸発量がどのように変化してゆくのか興味深く観察してゆこうと思います。写真は灌水装置オアシスで成長を続けるクリーピングベントグラス007 7月1日撮影

芝生から大気に蒸発してゆく水分量3 2021年06月29日

6月14日から6月29日までの植栽装置オアシスから蒸発した芝生の蒸発水量のデータがまとまりました。

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6月14日から6月29日までの平均気温は、6月2日から6月14日までの平均気温と同じでしたが、平均湿度は4%ほど上昇しました。この自然環境の変化が芝生の水分蒸発量に及ぼした影響は、平均蒸発量がやや下がったことです。下のグラフをご覧ください。

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芝生からの水分蒸発量は大気中の湿度と反比例するようですね。今回の測定期間中の大気中の平均気温は梅雨の影響で曇り、雨の日の連続で上昇しませんでした。これから本格的な夏に入り気温が上昇して行きますが芝生からの水分蒸発量と気温はどのような関係をもちながら推移してゆくか楽しみです。

unnamed.jpg今回は植栽装置全体からの水分蒸発量のグラフも表記しましたが、植栽装置からの水分蒸発量と芝生からの平均蒸発量は正比例していますね。

芝生は正直である? 2021年06月15日

新宿事務所のベランダで植栽装置オアシスを使って芝生から大気に蒸発してゆく水分量の観察をしていますが4月6日から6月14日までの数値がまとまりました。下記の表をご覧ください。210615表.png今回は芝生から大気に蒸発してゆく水分量と温度と湿度の関係ついてお話ししたいと思います。芝生からの水分蒸発量と温度、湿度の関係がよくわかるようにグラフをにまとめてみました。測定期間は4月6日から6月14日の間です。芝生の蒸発量と温度、湿度の推移がわかりやすくなるように芝生からの水分蒸発量の単位を10倍しました。下記のグラフをご覧ください。

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このグラフで、4月6日から4月29日までの芝生からの水分蒸発量と大気中の湿度を比較すると、大気中の湿度が下がるにつれて芝生からの水分蒸発量が増えて行くのがわかります。そして4月29日から6月2日までのグラフの推移を見ると大気中の湿度が増えるにつれて芝生からの水分蒸発量が減るのがわかります。また6月2日からは大気中の湿度が増えるに従い芝生からの水分蒸発量も増加に転じました。

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その理由を見極めるにはまだデータが少ないですが、大気中の気温が上昇していることが要因として考えられます。大気中の気温は4月の初めから6月の中旬まで一貫して上昇する傾向がグラフから読み取れます。ちなみに温度と湿度を測定する時間は、大体午前11時から12時の間です。測定に使用しているのは、市販されている湿度と温度が計測できるデジタル時計なので、気象台や研究機関のように厳密な数字が得られるとは思いませんが、芝生の成長と気温や湿度の関係をザックリ捉えることはできます。芝生は自然の変化に正直に反応するようですね。東京もようやく梅雨入りしました。これから気温や湿度も上昇する中で芝生がどのように反応するのか楽しみです。

芝生から大気に蒸発してゆく水分量2 2021年06月03日

4月6日から6月2日までの2か月間にわたる芝生から大気に蒸発してゆく水分量(平均)の測定結果がまとまりました。

芝生の平均蒸発量4月6日から6月2日.png

今回の測定データは5月17日のblogの続きのデータが含まれています。これで4月から5月にかけての芝生からの水分蒸発量の平均データがまとまりました。その結果は灌水装置オアシスからの平均蒸発量が4.07㍑/㎡・日、計量容器からの平均蒸発量が1.96㍑/㎡・日、芝生からの平均蒸発量が2.11㍑/㎡・日でした。また測定期間中の平均温度は21.7℃、平均湿度は38.7%でした。下の写真は6月2日に撮影したオアシスから伸びたベントグラス007の様子です。オアシスから無数に伸びたベントグラスの葉から蒸発してゆく水分の1日当たりの平均値が2.11㍑/㎡ということですね。

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植栽装置オアシスや計量容器が設置された場所は雨や直射日光が当たらないので、2か月に及ぶ計測の間、雨や太陽光の影響を受けることがありませんでした。今回の測定で得られたデータをザックリまとめると、芝生から蒸発してゆく水分量と、水面や芝生を支える土やガーデンクリートから蒸発してゆく水分量はほぼ同じではないかということです。つまり地表から蒸発してゆく水分量とほぼ同じ水分量が芝生を通して大気に蒸発してゆく事です。地面に芝生などの植物を植えることで、地表から蒸発してゆく水分量+植物からの水分の蒸発量が見込めるということですね。

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地球表面の土壌がコンクリートやアスファルトで覆われることで、土壌から蒸発してゆく水分が遮断されるのですが、地表に植物を植えることで土壌から蒸発する水分量+植物から蒸発する水分量が見込まれるということです。コンクリートジャングルとアスファルト砂漠に覆われたヒートアイランドで暮らす人々が癒されるためには、地表に植物を植えることが大事であることが今回の測定を通してよくわかりました。

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上の写真は大田区産業プラザPIOのテラスに設置された灌水装置オアシスで育つミントや、カスケードブロックフローラで花を咲かせている花菖蒲です。カスケードブロックの穴にしっかり活着した花菖蒲は今年で3回目の花の季節を迎えています。これからもコンクリートジャングルとアスファルト砂漠に覆われたヒートアイランド東京のいたるところで、手軽に植物が育つ場所をご提供して、人々の心が癒される空間を創ってゆこうと思います。 6月3日撮影

芝生から大気に蒸発してゆく水量 2021年05月17日

2021年4月6日から5月17日まで新宿事務所のベランダで測定した芝生からの水分蒸発量のデータがまとまりました。41日間にわたる測定の結果、灌水装置オアシスから芝生と土、ガーデンクリートを通して大気に蒸発していった水分は4.45㍑/㎡・日でした。同じく計量容器から大気に蒸発していった水分は2.19㍑/㎡・日でした。つまり芝生からの大気へ蒸発してゆく水分は4.45㍑/㎡・日-2.19㍑/㎡・日=2.16㍑/㎡・日です。地表から大気に蒸発してゆく水分とほぼ同じ水分が芝生から蒸発してゆくようです。

芝生の蒸散量4月から5月.png

また芝生から蒸発してゆく水分は大気中の湿度からも影響を受けるようで、その傾向は4月21日から4月29日にかけての測定データを見るとよくわかります。これからは芝生の水分蒸発量に対して気温と湿度がどのように影響を及ぼすか詳しく調べてゆこうと思います。クリーピングベントグラスも良く伸びてきました。5月20日撮影

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今年の東京は梅雨入りが例年よりも早くなりそうですね。街を歩いていたら梅雨の花アジサイを見かけました。植物は気温と湿度に敏感に反応しているようです。

P5170033.JPG                        5月17日撮影

芝生から大気に蒸発してゆく水量の測定 2021年05月08日

4月29日から5月8日にかけての10日間で芝生から蒸発してゆく水量を測定しました。場所は新宿事務所のベランダで、雨や直射日光が当たらない場所に植栽装置オアシスと計量容器を置いて測定しました。その結果1日当たりの芝生などの蒸発水量は下記の表とレイアウトの通りになりました

大気への蒸発してゆく水量png.png

まず植栽装置から芝生や土そしてガーデンクリートの緑化ブロックを通して大気中に蒸発してゆく平均水量は約4.85㍑/㎡・日でした。そして計量容器から蒸発してゆく平均水量は約2.33㍑/㎡・日でした。つまり芝生から蒸発してゆく平均蒸発水量は4.85-2.33=2.52㍑/㎡・日となります。

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西洋芝クリーピングベントグラスを伸び放題にして蒸発してゆく水量を測定したところ、地表の土や水から大気に向けて蒸発してゆく水量よりやや多めの水分が大気に向けて蒸発していったようですね。これは植物が自らの意思で水分を根から体内に吸収して、さまざまな用途に使用しながら大気に蒸発させて行った水分量です。水分を含んだ土は別としてアスファルトやコンクリートには備わっていない植物の素晴らしい能力ですね。

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保水性と通気性のあるガーデンクリートを植物とアスファルトやコンクリートの間に置いて緩衝領域を作り植物を育てることで、容易にコンクリートジャングルとアスファルト砂漠に覆われたヒートアイランド都市に潤いを与えることができます。5月8日撮影 関連ブログ:気温と湿度とヒートアイランド東京 芝生の水分蒸散量

芝生の水分蒸散量 2021年04月28日

新宿事務所のベランダで植栽装置にオアシスに植えた西洋芝の水分蒸散量の変化について調べています。4月21日から4月28日までの芝生の水分蒸散量の変化は平均6.2㍑/㎡・日です。また計量容器に入れた水の水分蒸散量はこの7日の間で平均3.1㍑/㎡・日でした。

オアシス水分蒸散量.png

植栽装置オアシスや計量容器が設置された場所はベランダで太陽光や雨が直接当たる場所ではありません。またこの7日間の日中の平均気温は約20度、平均湿度は約30%でした。

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オアシスからの芝生の蒸散量から計量容器の水の蒸散量を引くと3.1㍑/㎡・日という数字が残ります。これが芝生から大気へ蒸散したり芝生の体内に残る水分量ですね。光合成で使用された水量も多少あります。2018年10月から東京都大田区南蒲田にあります大田区産業プラザPIOの6Fに設置された試験フィールドで、芝生と野菜が吸収する灌水量を計測しました。1年かけて計測した芝生の蒸散量を計測したレイアウトが下記の図です。

78e7f82f224577f236f84d723076d2cae28c2e7d.pngこの図を説明しますと大気からの雨水の降雨量の平均が4.2㍑/㎡であるのに対し自然灌水システムお水番を通して芝生から大気に蒸散されてゆく水量が4㍑/㎡・日ということです。大気から降ってきた雨水はまた大気に蒸散してゆきます。それに加えてお水番から芝生を通して蒸散してゆく水量が1日当たり約4㍑/㎡となるということです。自然灌水システムお水番と植栽装置オアシスを通して芝生の蒸散量を観察していますが、芝生はもちろんのこと植物からの水分蒸散量がコンクリートジャングルとアスファルト砂漠に覆われたヒートアイランド東京に潤いを与えているのがよくわかります。これからもお水番やオアシスを通して植物の水分蒸散量を観察してゆこうと思います。 関連ブログ:「テストフィールドの年間灌水量」「芝生をめぐる水の循環」4月28日撮影

生物は目的意識をもって行動する 2021年04月12日

イギリスの生物学者ポール・ナース著の「生命とは何かWhat is Life 竹内薫訳ダイヤモンド社を読んでいます。本の中で生物学と物理学の違いについて上手く説明された文章がありました。「生物学では、目的について論じても、あまりおかしいとは思われない。一方、物理学では、川や彗星や重力波の目的について問うことはできない。でも、酵母のcdc2遺伝子の目的や、蝶が飛ぶ目的を問うことには意味がある。あらゆる生体は、自らを維持し、組織化し、成長し、そして増殖する。これらは、生物が自分と子孫を永続させたいという、基本的な目的を達成するために発達させてきた、目的を持った行動なんだ。」152ページ

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新宿事務所のベランダに設置した植栽装置オアシスで西洋芝を育てていますが、オアシスの水位の変化と、横に置いた計量器の水位の変化を比べてみると芝生を育てているオアシスの水位の変化が、計量器の水位の変化よりも大きいことがわかりました。オアシスの水位は4日でおよそ35mmほど下がりましたが計量器の水位の変化はおよそ2mmほどでした。

P4120162.JPG芝生を育てている緑化ブロックの容積の影響もあるので、オアシスの水位の変化をすべて芝生による水分吸収とは言い切れませんが、芝生による水分吸収量と、計量器の水が蒸発して大気に戻る水分量ではかなりの開きがあるようですね。

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西洋芝ベントグラス007は、発芽した後に葉を伸ばし葉緑体を作り、そこで太陽エネルギーを利用する光合成をおこない、水と二酸化炭素を使って糖と酸素を作る化学反応を起こします。この時に必要な水分が根から吸収されてゆきます。芝生は光合成のほかにも葉の細胞に水分を浸透させたり体温を調節するために葉の表面から水分を蒸散させたりします。つまり芝生は自らの生命を維持する目的を持ち水を利用するのです。それに対して計量器の水は、大気中の温度や湿度の変化に応じて水を蒸発させます。まさに物理的変化ですね。

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これからも植栽装置オアシスの水量の変化を観察しながら目的を持った生命の行動による水位の変化と、物理的な水位の変化について考えてゆきたいと思います。上の写真は新緑の生える新宿御苑4月12日撮影 関連ブログ:植栽装置オアシスに芝生の種を蒔いて1年が経ちました

植栽装置オアシスに芝生の種を蒔いて1年が経ちました 2021年03月19日

新宿事務所のベランダに植栽装置オアシスを設置して、西洋芝の種クリーピングベントグラス007をまいて、今日で365日丸一年が経過しました。事務所のベランダは西向きにあり、一日を通してごくわずかな時間だけしか太陽の光が届きません。(クリーピングベントグラスの種007の種を蒔く2020年3月20日)

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このような環境で芝生を育てて一年が過ぎ過ぎましたが、ここにきて意外なことに気が付きました。それは芝生の葉の蒸散量の多さです。昨年の暮れから芝生の葉を刈るのをやめて伸ばし放題にしたのですが、陽射しがあまり当たらず、冬の寒さの中で灌水量は増えることはないと予想したオアシスへの灌水量が増えたようです。(ベランダに植栽装置オアシスを設置た様子。)

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芝生が伸びて葉の表面積が増えるにつれて灌水量も増えてきたようです。(ベントグラスの種007をまいて20日で発芽してきた様子。4月8日撮影)

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先のブログ(芝生の水分蒸散力)でもお話ししましたが福島の原子力発電所に貯留されたタンクの水を海に放出するか、大気に蒸散させるか迫られた今、放射性物質についてあまり詳しくない私が言うのもなんですが、植物の持つ水分蒸散能力を利用するのも一つの方法ではないでしょうか?例えば貯留タンクの上で芝生を育てるとか?(植栽装置オアシスで芝生を育てる仕組み)

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芝生は刈るのが当たり前と考えていましたが、これからは植栽装置オアシスの西洋芝がどれだけ伸びるか、伸びきった後どのように変化してゆくのかさらに観察を続けてゆこうと思います。

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芝生の水分蒸散力 2021年02月23日

新宿事務所では植栽装置オアシスの上で西洋芝クリーピングベントグラス007を種から育てていますが種を蒔いてからそろそろ1年を迎えます。植栽装置オアシスが置かれたベランダは1年、1日を通してあまり日光が差し込まない場所なのですが、冬になっても芝生への灌水量が減りません。1日当たりおよそ3㍑/㎡から5㍑/㎡の灌水量です。ベランダでは他にプランターブロックでビオラやベゴニアなどを育てていますが、そのなかでも芝生の灌水量は群を抜いています。

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インターネットを見ていたらAP通信が2019年の12月に報道した面白い記事を見かけました。タイトルは「日本政府、福島の水の海洋放出と水蒸気放出を提案」です。詳しい内容は記事をご覧いただくとして、今回は私の仕事のテーマと関連して水蒸気放出について考えてみたいと思います。記事によると1979年3月にアメリカペンシルバニア州スリーマイル島で発生した原子力発電所事故では、2年にわたり87,000トンのトリチウム水を水蒸気放出で取り除いたそうです。簡単に言うとトリチウム水を蒸発させて水分を無くしていったのでしょうね。そして残ったのがトリチウムなどの放射性物質だったようです。以前、福島の原子力発電所の事故により発生した放射性物質を含んだ汚染水から、自然灌水システムお水番と組み合わせて植物のもつファイトレメデイエイションという力を借りて放射性物質を植物の内部に取り込むシステムを考えたことがありました。

福島.png今見直ししてみると、芝生や植物には土壌の汚染物質を吸着する機能のほかに、土壌の水分を吸い上げて蒸散させるという素晴らしい機能があることに気が付きました。新宿事務所で西洋芝を育てている植栽装置オアシスのレイアウトは下記のとおりです。

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スプリンクラーなどで植物の表面に散水することと比べると自然灌水システムお水番にしても植栽装置オアシスにしても、底面から植物を支える土壌や植物の根に毛細管現象の働きを利用して水を補給することができます。そして芝生の無数の葉は表面積を増やすので、土壌表面よりも立体的に水分の蒸散量を増やすことが可能です。

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汚染水をためたタンクの数が飽和状態を迎え、海に放出するか大気中に蒸散させるかの選択肢しかない現在、毛細管現象の働きで土壌を湿らせ、芝生の葉による蒸散作用のアップが見込まれる自然灌水システムお水番や植栽装置オアシスが福島の原子力発電所が抱えている問題に少しでも役立つことができればと思います。上の写真はベントグラスの種をまいて一月して芝生が発芽してきた2020年4月18日の写真です。

風のガーデンの温度測定 2015年08月06日

連続猛暑日の記録更新が続く東京ですが、文京区にあります風のガーデンで温度測定を行いました。ここでは以前2013年7月25日にも温度を測定したのですがその時のデータは外気温が30度、コンクリートの表面温度が50℃、ガーデンクリート緑化システムの表面温度が32.4℃でした。7月の風のガーデン

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今回も前回とほぼ同じ時間(午後2時)に同じ場所で測定しました。測定に使用した計測器も前回と同じ非接触赤外線表面温度計で測定場所はコンクリート表面もガーデンクリート緑化システム表面も温度計も日陰の場所です。その結果は外気温度が33.0℃、コンクリート表面が58.8℃、そしてガーデンクリート緑化システムの表面温度は32.7℃でした。
            2015年8月6日午後1時57分 気温33度 湿度56%でした。
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コンクリートの表面温度は日陰でも58.8℃で2013年の7月に測定したときよりも8.8℃も高くなっていました、。
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     ガーデンクリート緑化システムの表面温度は32.7℃で前回とほぼ同じ温度でした。
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ガーデンクリート緑化システムでは芝生の部分の温度を測定しましたが、芝生は夏の水分蒸散量が1日当たり約5リットル/m2と言われていており、緑化システムもそれに合わせて灌水量を調整しています。1リットルの水が蒸発するときの気化熱は約540キロカロリーなのでガーデンクリート緑化システムで灌水されている芝生の1日当たりの気化熱は2700キロカロリー/m2ですね。
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水分を保水できないコンクリートは水分の蒸散作用を行うことが出来ず、太陽からのエネルギーを内部に蓄熱して表面温度が高くなりますが、水分を保水するガーデンクリートと灌水システムの組み合わせは常に適量の水を植物に灌水するので、気温が高くなっても植物の表面温度は気化熱の働きで一定に保つことが出来ます。
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                             8月6日撮影
7月の風のガーデン 2013年07月25日

              7月に入り風のガーデンも植物の成長も旺盛です。今月は伸びた芝生の芝刈りをしました。

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非接触赤外線表面温度計を使用して緑化表面と同じテラスにあるコンクリートの表面温度を測定しました。外気温が30度の時、コンクリート表面は50度、緑化表面は32度で18度の温度差がみられました。この温度差の要因は植物には生命を維持するために、体内の水分を蒸発させて気化熱を発生させることで表面温度を低く保つ働きがあるからですね。
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今月風のガーデンにやってきた植物はコスモスと桔梗です。コスモスの花言葉は「はかなく揺れる秋風の精」だそうです。貞三先生の花言葉この次に風のガーデンにやって来るのは8月の下旬です。そのころには秋風の精も姿を見せ始めているでしょうね。
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今年の東京の夏の気候は太平洋高気圧が南西に下がり北からのオホーツク海高気圧の張り出しが強くなりそうです。気のせいか風のガーデンにもかすかに秋の気配を感じます?
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     関連ブログ:光合成と芝生の呼吸 7月23日撮影

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