福徳岡ノ場の軽石で断熱緑化コンクリートを作る

2021年8月に東京の南の福徳岡ノ場で大規模な噴火があり、大量の軽石が発生し海を漂流しました。
大量の軽石はその後沖縄に漂着し陸に上げられて仮置きされています。
この軽石を当社で開発した配合技術や緑化システムで断熱性と保水性に優れた断熱緑化コンクリートとして製品化することを目指しました。

軽石の品質

福徳岡ノ場の軽石の仮比重はおよそ400kg/㎥(乾燥時)で当社で利用している十和田湖の軽石の仮比重380kg/㎥(乾燥時)とほぼ同じなので当社の配合技術で空隙のある断熱緑化コンクリートが作れそうです。

福徳岡ノ場の軽石 仮比重400kg/㎥
福徳岡ノ場の軽石 仮比重400kg/㎥
十和田湖の軽石 仮比重380kg/㎥
十和田湖の軽石 仮比重380kg/㎥

福徳岡ノ場の軽石は十和田湖の軽石と比べて灰色をしていて、その色合いはインドネシアの軽石に似ています。

断熱緑化コンクリートの製造

当社の配合技術を利用して福徳岡ノ場の軽石で断熱緑化コンクリートを作りました。
左が福徳岡ノ場の軽石、右が十和田湖の軽石で作った断熱緑化コンクリートです。

福徳岡ノ場の軽石と十和田湖の軽石で作った断熱緑化コンクリートの比較

福徳岡の場の軽石で作った断熱緑化コンクリートの仮比重は約500kg/㎥、十和田湖の軽石で作った断熱緑化コンクリートの仮比重は630kg/㎥でした。
福徳岡の場の軽石で作った断熱緑化コンクリートの仮比重が十和田湖の軽石で作った断熱緑化コンクリートよりも軽いのは試験体を作るときの詰める軽石の量の違いに影響されているようです。
福徳岡ノ場の軽石は粒度が20mmぐらいから1mm前後まで含まれていてばらつきがありますが十和田湖の軽石は10mmから6mm,6mmから3mm,3mmアンダーにふるい分けられていて試験体の容器にしっかり詰めることができたことが仮比重の違いになったと考えられます。

断熱コンクリートとしての利用方法
断熱性能について

断熱緑化コンクリートの熱伝導率は0.16W/mKでコンクリートの熱伝導率1.6W/mKの十分の一です。
屋上のコンクリートの上に断熱緑化コンクリートを施工して芝生を張った場所の階下の天井温度と、コンクリートむき出しの屋上下の天井温度を測定したところ断熱緑化コンクリート下の天井温度は、コンクリートむき出しの天井下の温度と比べて平均で夏は3度低く、冬は2度暖かい効果が得られました。
使用した断熱緑化コンクリートの軽石は十和田湖産(仮比重380kg/㎥)でしたが、福徳岡ノ場の軽石(仮比重400kg/㎥)を利用した断熱緑化コンクリートも似た断熱効果が見込まれると思います。

緑化コンクリートとしての利用方法

塩分を含んだ福徳岡ノ場の軽石で作った緑化コンクリートに芝生の種を蒔いたところ種は発芽はしましたが、その後成長することなく枯れました。

緑化コンクリートの芝生育成実験1
緑化コンクリートの芝生育成実験2

そこで当社で開発した緑化システムを応用して、緑化ブロックを灌水クロスで覆いその上に薄く土を敷いて芝生の種を蒔いたところ種は発芽して成長を続けています。

1.緑化コンクリート
3.灌水クロス
4.芝生

緑化システム解説図
福徳岡ノ場の軽石で作った断熱緑化コンクリート

福徳岡ノ場の軽石で作った断熱緑化コンクリート
灌水クロスで覆い薄く土を敷いて種を蒔く。
2022年10月15日撮影
灌水クロスで覆い薄く土を敷いて種を蒔く。2022年10月15日撮影
芝生の種は発芽して成長を始める。11月7日撮影
芝生の種は発芽して成長を始める。11月7日撮影
12月3日撮影
芝生の種は発芽して成長を始める。12月3日撮影
結論

火山の噴火で発生した軽石は、水洗、乾燥、ふるい分けなどの前処理をしてから利用すると製品化しやすいが前処理をする設備が整っていない場合でも、当社で開発した配合技術や緑化技術を応用することで断熱緑化コンクリートとして利用できる可能性がわかりました。
福徳岡ノ場の軽石はもちろんのこと、世界各地で噴火する火山の軽石も当社で開発した配合技術や緑化システムを応用して断熱緑化コンクリートとして利用できます。


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