植物に寄り添う自然灌水システム「お水番」
「お水番」は季節ごとに植物が必要とする水量を灌水する自然灌水システムです。
ガーデンクリートと組み合わせて芝生や花、季節の野菜など様々な植物を育てます。
特許 第5692970号
システムの説明
自然灌水システムお水番には灌水タンクからの水をコントロールタイマーで調整するシステムと、灌水タンクからの水をバルブで調整するシステムがあります。
いずれのシステムも、タイマーやバルブで調整された水を灌水パイプに流します。
タイマーやバルブは、灌水パイプの中の水がオーバーフローしないように調整します。
灌水パイプの上部には切れ込みがあり灌水クロスがパイプに差し込まれます。
灌水パイプにたまった水がクロスを通して吸い上げられてクロス全面に拡散させる仕組みです。
灌水クロスの下には通気性と保水性のある雷オコシの構造をした土壌代替材ガーデンクリートで作られた緑化ブロックが敷かれています。
灌水クロスの上に置かれた植物の根は水を求めて灌水クロスを貫通して緑化ブロックの空隙に活着します。
下記システムレイアウトをご覧ください。
システムレイアウト



灌水量の変化
2018年の10月から大田区南蒲田にあります大田区産業プラザPIOの6Fテラスに設置したテストフィールドで灌水量の変化を記録しました。
経過説明
芝生フィールドでは1年を通して西洋芝ベントグラスTyeeを育てています。
野菜フィールドでは秋から冬にかけてはイチゴ、シクラメン、ビオラなどを育てました。そして5月からはキュウリ、ナス、ピーマン、などの野菜を育てています。
2018年の10月から2019年の9月末までの12か月間の平均灌水量は芝生フィールドが3.4リットル/m2日であるのに対して野菜フィールドが2.5リットル/m2日でした。
秋の灌水量の平均は芝生フィールドが4.5リットル/m2/日、野菜フィールドは4.2リットル/m2日でした。
冬から春にかけては芝生フィールドが2.7リットル/m2日、野菜フィールドが0.4リットル/m2日でした。
5月のゴールデンウィーク後の初夏にかけての灌水量の平均は芝生フィールドが6.6リットル/m2日、野菜フィールドが4.5リットル/m2日でした。
そして梅雨に入ると灌水量の平均は芝生フィールドが0.2リットル/m2日で野菜フィールドが7.3リットル/m2日と大きな差が出てきました。
梅雨が明けると芝生フィールドの灌水は再開されました。
夏の間、芝生フィールドのベント芝は衰退して、灌水量も一時減りましたが、種をまき発芽が始まると灌水量は増え始めました。
野菜フィールドでは、野菜の成長がピークを越えたことと、実を成らせ続けるためにてまき散水を行ったことで梅雨に比べて灌水量は減りました。
テストフィールドの写真
芝生フィールドの灌水タンクとタイマー
灌水タンク
2台のタンクを連結して約240リットルの水を
貯留する。

タイマー
タイマーで灌水時間を調整する。



野菜フィールドの灌水タンクとバルブ
タンク
約63リットルの水を貯留する。

バルブ
バルブを手で回しながら水量を調整する。


芝生フィールドのベントグラスの成長
2018年11月
芝刈り前


芝刈り後

2019年7月



2019年9月
夏の暑さで一時衰退したベント芝も気温が下がるとともに回復してきた。



野菜フィールドの花や野菜の成長
2018年11月
イチゴ、ガーデンシクラメン、ビオラの苗をガーデンクリートの上に置き周囲に土をかける


2019年3月


2019年5月
キュウリ、ナス、ピーマン、枝豆の苗をガーデンクリートの上に置き周囲に土をかける


2019年7月
野菜は梅雨の間成長を続け、それに伴い灌水量も増えた。


2019年9月
野菜の成長もピークを越えて灌水量も減り始めた。



考察
1.芝生フィールドの灌水量の変化について
芝生フィールドではベント芝を育てていますが、ベント芝は高麗芝と違い、冬になっても休眠することなく光合成や蒸散作用を続けるために一年を通して根から水分を吸収します。それでも冬になると気温が下がり葉からの水分の蒸散量が秋や、初夏に比べて少なくなるので平均灌水量は減ります。
初夏になり芝生フィールドの平均灌水量が増えるのは、気温が高くなったこと、太陽からの直射日光が芝生の葉に当たり葉の表面温度が高くなるにつれて、芝生の体内温度を調整するために葉からの水分蒸散量も多くなります。
梅雨になり芝生フィールドの平均灌水量が極端に減ったのは、太陽が雲に覆われる日が多く葉に直射日光が当たらくなり、それに伴い葉からの水分蒸散量が減ったと考えらます。(2019年6月の下旬から7月にかけてテストフィールドの天気は曇り、雨の日が続きました。)また梅雨に入り降雨量が増えたので灌水タンクからの灌水量が減りました。
梅雨が明けて芝生フィールドに太陽が当たり始めると、芝生からの吸水活動も再開され、灌水タンクからの灌水量も減り始めました。
しかし観測した2019年の夏の東京は梅雨が明けると同時に急に気温が30℃を上回る夏日が続き、夏の成長能(Growth Potential)の低いベント芝は衰退しました。そこで8月の灌水量はあまり増えませんでしたが、ベント芝の種を蒔き発芽すると灌水量も増え始めました。

2.野菜フィールドの灌水量の変化について
10月の前半はまだ夏野菜であるピーマンやトマトが栽培されました。そして11月中旬からイチゴ、サヤエンドウ、ビオラ、ガーデンシクラメンを育て始めましたが、10月から11月中旬にかけて野菜フィールドの灌水量が冬から春にかけてより多かったのは、ピーマンやトマトの吸水量が、イチゴやサヤエンドウなど冬にかけて植えた植物よりも多かったことと、気温が冬よりも高かったことが理由ではないかと思います。
11月中旬から4月の始めにかけての野菜フィールドの灌水量がタンクを満たした水量だけで賄われたことはイチゴ、サヤエンドウ、ビオラ、ガーデンシクラメン全体の葉の表面積がベント芝全体の葉の表面積よりも小さく葉からの水分蒸散量が少なくなったことが考えられます。気温が低くなったことも植物からの水分蒸散量を減らした要因ではないでしょうか?
初夏になり平均灌水量が増えた理由は、5月の中旬にキュウリ、ナス、枝豆などの苗を野菜フィールドに植えて、これらの野菜が梅雨の間に大きく成長したことが考えられます。キュウリは植えてから一月足らずで2メートル以上でツルを伸ばし葉も大きく実を付けました。ナスも葉が大きくなり実をつけました。実をつけるためにも光合成作用は活発になったようです。
梅雨に入り太陽光が直接当たらくなっても成長を続ける野菜が、ベント芝と比べて水分を多く必要としたことが平均灌水量の増加につながり芝生の平均灌水量に大きな差をつけたようです。
梅雨の間は、雨が降る中で灌水量が増え続けた野菜フィールドの野菜は実をつけ続けました。
梅雨が明けた野菜フィールドの灌水量が梅雨の間の灌水量よりも減った原因は、てまき散水が加わったことと、野菜の成長がピークを越えて野菜の葉からの蒸散量や、野菜を作るための水分量が減ったことによるものと考えます。

自然灌水システムお水番で1年を通して灌水量を計測してみてわかったことは、お水番は植物が季節ごとに求める必要最小限の水を継続して灌水する事でした。
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